あずにゃん部長やってやったです! 『けいおん!highschool』

けいおん!  highschool (まんがタイムKRコミックス)

けいおん! highschool (まんがタイムKRコミックス)

先輩四人が卒業してしまって一人残る形となった梓。
友人二人を部員に迎え、新たな春がやって来たのだが・・・

大学組を描いたcollege編と並列進行で連載されていた、
あずにゃんを主役に据えたもう一つのけいおん!アフターストーリーがついにお目見え。
メインキャラのほとんどが不在となったために、
一体どんな風になるんだろうと期待と不安が入り混じったスタートではあったものの、
終わってみればしっかりと世代交代も為され、
ゆるい雰囲気で活動を行う様子は相変わらずで安心しました。

本編の最終回で入部の確約を取った憂と純もキャラが立ってるし、
新入部員二人もあの独特の空気にすんなりと馴染んでくれて、
しっかりと伝統が受け継がれてるじゃないかと。
大学側は一歩先に進んだその後の様子を描いているのに対して、
舞台は変わらずの高校で良くも悪くもそのままなので、
ある意味こちら側の方が正統な続編と言えるかもしれませんね。
時間軸は大学編と同じく三年生にとって文化部として、
主だった活動の引退試合となる学園祭までなわけですが、
梓たちが卒業した後もこのような感じで続いてくんだろうなー。

伝統ってこうして作られてくものなんですね。
部員たちもそうだけど、何よりもさわちゃんが顧問をしている限りは!
これで原作としてはグランドフィナーレとなったけれども、
きっと各々の心の中で軽音部はいつまでも不滅です。


メンバー変われど、活動実態は変わらず。
継続して軽音部所属は梓一人だけ、
残りの四人のうち二人は既に三年生、
二人は新入生の完全新キャラって構成なので、
もしかしたら全く違う活動内容になってしまうのではないか。
そんな不安も少なからず持った人も少なくはないかと。
が、朱に交われば赤くなるとは言ったもので、
「確保」に始まりお茶会に至るまで、
継続して描かれるとは思いもしませんでしたよ。
ムギの持ち込みケーキと憂の手作りケーキ、
どちらも非常に魅力的ですなぁ。
完全にさわちゃん大歓喜状態じゃないか。
以前の律っちゃん枠も純がしっかりと引き継いでいて、
違和感ってものはほとんど感じずに楽しめました。
そんな中でもキャラの掘り下げもされていて、
部長としての自覚もあってか、梓は若干大人じみてきた感じ。
アニメ版でキャラソンCDまで発売されてるのに、
実は歌が下手だったなんて設定まで追加されてますけどね。

憂&純にすごく下手とまで言われるほどの歌ってどんななんだろう・・・
歌へた芸人級だったら泣くぞ。
歌唱力はともかく新入部員も入ってきたし、
かつて「やってやるです!」と発言した通り、
見事に「やってやったです!」と胸を張って言えるのではないでしょうか。


曲者揃いの新入生二人、しかしてその実態は・・・
どんな作品にせよ、新キャラを出すってのは一種の賭けだと思うんですよね。
成功してキャラ人気が出ればよし、そうでなければ目も当てられない。
当初の四人が二年生になり、新入生を入れる必要性が生じたときに、
加わったのが梓であって、結果としては大成功だったわけですが、
二度も期待に応えた良キャラが登場してくれるのか。
不安はスミーレと奥田さんの二人を見て杞憂だったと確信しました。
片や先輩陣との繋がりを持っており、もう片や完全新規の今までにいなかったタイプ。
どこぞの紹介文では「偽ムギちゃん」と「メガネ」なんて、
酷いなんてレベルを超越してネタの域にまで到達してるような紹介をされてましたが、
単純にそんな一言で表せるようなキャラじゃないですよ。
この二人が新たに登場したってだけでもhighschool編の為した功績は大きいです。
スミーレ可愛いよスミーレ。

日本に帰化したオーストリア人の家系だの、
メイドであると同時に妹も同然の関係だっただの、
設定面も濃いけど普通にキャラとして可愛い。
メイン回も多いし、ある意味もう一人の主役と言ってもいいかも。
着実に成長も見せてくれてますからね。
奥田さんも今までにいなかった特有のキャラを持っていて、
全体的に話を盛り上げるボケキャラとして、
眼鏡のレンズのみならずキャラクター性が光ってます。

演奏はできないけどプロデュースとか機材とか、
裏方としては必要な立ち位置である特異性もまた変わり者っぷりに拍車をかけてます。
軽音部とかでは作詞・作曲等を専門にしているのはそんなにいないかもしれないけども、
演劇部とかの場合では機材・大道具・小道具・照明・音響・脚本と、
役者以上に裏方の重要性が問われたりしますからね。
戦いの場所はステージの上だけではないことを改めて教えてくれました。
基本はボケキャラですが。