ヒーローとしての誇りは死なず・・・ 『RATMAN』 8巻

RATMAN (8) (角川コミックス・エース 152-9)

RATMAN (8) (角川コミックス・エース 152-9)

アンチェインとの戦いも決着が付き、ひとまず戻ってきた日常。
何気ない日々の中でも各々に問われるヒーローの意義とは・・・

ヒーローとは如何にしてヒーロー足りえるか、
正義の定義とは一体何なのか等々、毎回非常に熱い展開を見せてくれる本作。
ストーリーもいよいよ佳境へと差し掛かる頃合であり、
8ヶ月ぶりと若干久しぶりのリリースとなる今回は、
修斗以外の人物にスポットを当てたエピソードが中心となっており、
誰もが皆熱くて読んでてたまらなく燃え上がる話となっておりました。
ヒーローは熱く、ヒロインは可愛く。
元々燃えと萌えが同居していながら燃え要素が強かったりするわけだけれども、
熱さが更に割増しされてた感じですね。
あっついぜー、あつくてしぬぜー。
とは言ってもギャグ&リア充担当のファットマンは準レギュラーとして健在だし、
ヒロイン勢は揃って可愛いし、ハイブリッド感は半端ないです。


真に熱き心は強さもハンデも乗り越える。
バトル中心な中でも時折ギャグで和ませてくれるのも特徴な本作はギャグで滑り出し。
特に今回は裏表紙とか表紙を開いた瞬間のインパクトが半端ないです。
ガイア的なメンズナックル風キャッチフレーズを伴って出てきた渋谷系ヒーロー。

ヤヴァイスって名前の通りやばいっす。
どう見ても口先だけでかませ犬なチャラ男にしか見えず、
実際強さもFランクの一般人同然な読モ、
必殺技に至ってはネーミングがまんまメンズナックル言っちゃってたりするくらいなのですが、
心は間違いなく真のヒーローでした。

自らのヒーロー像を語る姿はちょっと格好いいって思ってしまった。
まさかこんなチャラ男に教えられるとは・・・
作中でも同様に教えられた人物、それがヒロインの一人である梨緒先輩でした。
水島さんにあんずと、ヒロインとして強力な二人に押され気味で
若干目立っていない感のあった先輩だったけれども、
ヒロインとしてではなく、ヒーローとして覚醒しました。
どうしても認定してくれない協会の会長である父親と拳で語ってるし。

と言うか親父強えぇ!
ヒーローを束ねる長はその誰よりも強くあれってことですか。


決して悔いを残さぬために、アンカイザー最後の戦いへ。
初期からA級ヒーローとして活躍していたと同時に、
金と結果が全てである考え方は修斗にヒーローとしての在り方を
強く自身に問いかけることとなるほど大きな影響を与えた最大のライバル。

そんな彼が突如としてヒーローを廃業せざるを得ない事件が起こってしまい・・・
栄光を勝ち取ること、勝ち続けることは難しいものですが、
そこからの凋落ってものは本当に一瞬ですね。
自身に落ち度はないとは言えども、
契約会社の社長が脱税で逮捕されたことで地へと落ちた企業イメージと、
結果として倒産してしまうなんて事態はどうしようもありません。
今まで積み上げてきたものを全て失うこととなった彼が最後にやり残したこと。
それがラットマンとの決着。

公共の電波で放送されている引退会見の場で行ったリターンマッチの宣戦布告。
金と結果にこだわる裏に隠されていた事実が判明した上でのそれは、
一人の漢としての覚悟とけじめが含まれていて魂が燃え上がりました。
本人が幾ら否定しても紛れもなくヒーローですね。
毎回熱い展開とバトルが繰り広げられる本作の中においても、
屈指のベストバウトになったのではないでしょうか。
これからはライバルとしてではなく、良き兄貴キャラとして出てくることになるのかな。