蘇る天才たち、想像を超えた激闘 『BAMBOO BLADE』 13巻

BAMBOO BLADE 13 (ヤングガンガンコミックス)

BAMBOO BLADE 13 (ヤングガンガンコミックス)

ついに収録当日を迎えたバニ学の剣道小町特集。
突如としてタマちゃんをも圧倒する気迫と強さを発揮する沢宮エリナの正体とは・・・
剣道小町編に突入して以降、本編と異なる芸能界サイドでの話も進行して
全然剣道関係ないじゃないかと思われていたこれまでの話が
今回のエピソードで全て一つに繋がりました。

沢宮エリナの正体、真の復活を遂げる榊ウラ、
そして自分が剣道をやっている理由をはじめて本気で見つめ直すこととなるタマちゃん。

試合時は真剣勝負の張り詰めた空気が描かれるも、
それ以外のときはギャグも多々織り交ぜられているのが本作の特徴でもありますが、
一切のギャグはなく、その空気を読んでなのか、巻末おまけすら収録されていないために、
如何に今回が本気であるかが窺えます。
数多く張られていた伏線の一つの終着点を迎えたことにより、
今までにないくらいの興奮と衝撃に終始した今回でした。
完全に予想だにしなかった展開だったため、
同時にこれからの展開が一体どのようになっていくのか非常に気になります。
いよいよ終盤に向かって話が進んで行くとは思いますが、
むしろここからが本当の正念場とばかりに長くなりそうですし。


タマちゃんの影響によって復活した一人の天才。
その天才によって復活したもう一人の天才。
一瞬にして勝負が決する試合体系故に、
これまで一試合は長くても2〜3話くらいだったものですが、
二人の天才の激突にほぼ丸一巻分を費やした今回。
非常に長く、それ以上に熱かったです。
まさか本作でここまで胸が高鳴り、熱くなり、そして泣けることになろうとは。
自分のことをライバルだと認めてくれた榊ウラに勝利できず、
己の限界を感じて逃げ出した沢宮エリナこと山田梅子。
自分が唯一ライバルだと認めた山田梅子と言う存在を失い、
剣道を続ける意義と目標を見失ってアイドルに逃避した榊ウラ。
一度は剣を捨てた二人だけれども、その理由が共にこの因果関係に起因していたとは・・・
この二人こそが衝撃の対決を果たした今回の主役です。
できることならば、もっとこの試合を見続けていたい。
当事者たちも戦っていたい。
試合を見る者全てを感動させる中で見せた梅子の涙に今回の全てが集約されている気がします。

普通に試合だけでも本作一の名勝負となったけれども、
この梅子の涙は同じく屈指の名シーンであると言えますね。


辞めた原因がライバルにあるのであれば、復活する原因となるのもこれまたライバルにあり。
未だ目を覚まさないウラを叱咤し、
本来の力を取り戻させた梅子がこんな熱血キャラだとは思いませんでした。

アイドルとして芸能界で生きてきたことは
確かに逃げ出した事実と再度立ち向かい、
超えてゆく覚悟を持たせるのに十分だったようです。
もう梅子指数が自分の中でだだ上がりですよ。
一方で梅子に触発される形で覚醒したウラの怖いこと。
ヤンデレモードのときもそれはそれで怖かったけど、
それとは異質の触っただけで斬られそうな何かがあってですね。
確かにその体捌きは反則です。

時を消し去るって・・・
何そのキングクリムゾンこわい。
そうか、ウラの強さはスタンド使いだったからなのか!?
(絶対違う)


天才二人のライバル対決を目の当たりにして、
自らの苦悩から脱却した当人たちの反面、
逆に壁にぶち当たることとなったタマちゃんの思惑やいかに。
自らの気迫でエリナを梅子として目覚めさせてしまったことにより、
反則負けとかのことがなければ今まで一度もまともに一本取られたことがなかったのに、
完全敗北したことによるショックは相当大きいと思うんですよ。
それこそ表面では明るい風を取り繕ってはいるけれど・・・

自分は何故剣道をやっているのか。
家が道場だから?
そんな理由ではないはず。
ずっと当たり前のようになっていたから気付いていないのかもしれないけど、
やっぱり剣道が好きだからだと思うんですよね。
アニメ版のオリジナルエピソードでは
負けたことによるショックで退部届けを提出してしまうまでいってしまいましたが、
果たしてこちらの原作版ではどうなるのか。
いずれにせよ、ライバルと言う決定的な存在がいない身にはかなり難しい命題になりそうです。
そのあたりは全てを見越してるっぽいキリノが完全に悟りを開いちゃってる感じですがね。