其の反逆はイカロスの翼となりて・・・ 『神さまの言うとおり』 5巻
- 作者: 藤村緋二,金城宗幸
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/12/07
- メディア: コミック
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敗者には例外無き死が与えられる情況の中、
とんでもない奇策を思い付いた瞬だったが・・・
第一ステージでは子供の郷土玩具、第二ステージでは運動会と、
与えられるゲームミッションの内容は非常にふざけている反面、
ゴミのように容赦なく人が死にまくるという、
えげつなさとグロさには定評のある本作。
今回は思いもよらぬ急展開を見せ、
完膚なきまでに絶望に彩られた衝撃の第一部完となります。
年明けからは月刊誌だった別マガから、
週マガ本誌へと移籍して第二部がスタートするということで、
新展開に向けても一切の希望無き無慈悲さと共に、
新たな謎や重要なフラグも登場したりするわけですが、
本当にどうすんの、これ・・・
そのまま継続か全くの仕切り直しになるか不明だけど、
第二部になってもバッドエンドになるヴィジョンしか見えないんですが・・・
少なくとも週マガ本誌に移るだけの注目作であることは確かだし、
何はともあれ今後がどうなるか目が離せませんね。
個人的注目は「運」で死んだあの人の妹が登場したことが胸熱です。
死亡者が少ないのならば、一掃してしまえばいいじゃない。
今までの無慈悲さからすれば、「徒競走」ならぬ「度胸走」はまだぬるい方。
最低でも一度の競争で一人は死ぬとしても、
逆に言えばそれしか死なない場合もあるってことですからね。
とか思ってたら次に始まった競技で見事にカウンターをぶちかましてきてくれました。
基本は棒倒しでも倒した棒が爆発するから、
勝っても攻めた本人は死ぬ、時間制限もあるので躊躇しても死ぬ。
「棒倒し」ならぬ「絶望倒し」なるこの競技、
良くて1チーム丸ごと、最悪両チーム全員爆死とか、
相当なドSでもない限り発想として浮かぶことすらありえないし、
そもそもこんな内容を考え付くこと自体が正気の沙汰じゃないです。
個人プレイでどうこうなるものじゃなくて、
必ず犠牲が必要になる競技だからこそ、
追い詰められた状況に置かれた面子の心理状態が浮き彫りになって、
表面上では死ぬ覚悟をしたふりになってもやっぱりどこかで生きたいと思ってしまって、
結果共倒れの自爆って最悪の結果になったりする。
最悪すぎるわ・・・
自殺願望があるか、某特攻隊みたいに死ぬことこそ美徳みたいな考えじゃなければ、
心の底から死のうなんて思えるもんじゃないですよ。
そういうのを見越してるかどうかはわからないけども、
如何に狂ってるかどうかは痛いほどによくわかりますね。
イカロスの翼、それは許されざる神への反逆行為。
単行本の表紙は今まで挑戦させられてきたゲームにちなんだものばかりだったのが、
今回に限って全く違う感じになっていて違和感バリバリで、
背表紙もミノタウロスの頭だったりと、とにかく何かが違う。
実はこの表紙も今回の内容を語るために非常に重要な意味を持っていて、
絶望的な状況を打開しようとした瞬とあらゆる点でリンクしてるんですね。
自称神の意志でゲームが続行されるのであれば、
ゲームマスター本人を倒してしまえばいい。
結論さえ出てしまえば非常にシンプルなものだけども、
これほどまでに追い詰められてると頭の隅にすら引っ掛からないですわ。
どうあってもプレイヤーとして挑む中での打開策で考えてしまう。
ボードゲームならばボードそのものを引っくり返すようなこの行為、
自分が天谷と同じであると自覚した瞬間、
それらによって訪れた結末とは・・・
詳細はネタバレの度を過ぎるので伏せるとして、
少なくとも無事に倒してめでたしめでたしではないとだけは言っておきましょうか。
神話において、イカロスがどうなったかを知っていれば想像に難くないかと。
勿論それだけではなくて、他の面子や別方向から核心に迫っていた面々など、
どの方向から見ても真っ当なことになってません。
さてこれからどうなることやら。