目には目を、歯には歯を、不当占拠には報復を 『魔法少女プリティ☆ベル』 8巻

魔法少女プリティ☆ベル 8 (BLADE COMICS)

魔法少女プリティ☆ベル 8 (BLADE COMICS)

ルルイエの侵略によって一時占拠された南軍首都。
全てを敵に回した愚者共を殲滅すべく、
四大魔王軍が結託して全面戦争へと突入することとなるのだが・・・

愛と勇気と希望はどこへやら、
筋肉とクトゥルフ神話と戦争と中二病の物語。
既に魔法少女ほとんど関係なくなってきている気がしなくもないですが、
色んな意味で今最も熱い魔法少女作品の最新刊が登場です。

前回の時点からして衝突は避けられない一触即発の状態となり、
順当に力に対して力で制圧する戦争シーンが中心の今回。
巻を増すごとに展開がとんでもない明後日の方向へとすっ飛んで、
今となってはごらんの有様だよって感じではあるものの、
もしかしたら我々はどこぞの実戦空手道とブーメランを組み合わせた、
まったく新しい格闘技のように、
魔法と政治を組み合わせた社会派魔法少女ものという、
まったく新しいジャンルへと進化してゆく過程を、
目の当たりにしている歴史的証人なのかもしれません。
一応幕間ではギャグ色の強いエピソードもあるのだけれども、
こっちはこっちでなかなかに強烈なので、
ギャグと戦争の両面から楽しむことができます。
ぇ?魔法少女
それは今回のジョーカーですよ?


現実に置き換えると洒落になっていないほどの戦闘態勢。
前回から今回へ至るくだりですが、
とにかく読んで思ったことが一つ。
これ・・・今の日本が置かれてる対外情勢を予言でもしてたのか・・・?
ルルイエの南軍首都侵攻と、それに対する相応の報復とか、
明らかに竹島問題なり尖閣諸島問題なりとかぶって見えるんですよ。
日本を魔王軍、中韓をルルイエと置き換えてみると・・・
恐ろしいまでにしっくりときすぎる。

さすがに本作みたいに武力衝突による全面戦争とはならないとしても、
経済制裁なりで報復に出る可能性は十分に考えられますからね。
現状ナメられきってるふざけた状況だけど・・・
ルルイエの軍勢が愚者・愚物を絵に描いたような連中なのでなおのこと。
まさかここまで近しい情勢になるとは思わなんだ。
と、そんな中で始まった魔王連合軍とルルイエの戦争ですが、
見事なまでのワンサイドゲーム
何だかんだで魔王無双に帰着してしまうくらいに戦力が圧倒的なんですよね。
決して相手が弱いわけじゃないんですよ。
ルルイエ側も国土そのものでもある、
超大型戦艦クトゥルフを動員するほどまでに必死ですからね。
それほどまでに魔王って存在がチートすぎるってことです。
今回の戦闘に至ってはほとんどイタカさん一人で戦ってるのに近いし、
本当に回を増すごとに厚志さんの立場がなくなってくなー。
結局のところ、手を出したのが悪い。
やはり不当な行動には相応の対価を持って支払わせることこそが世の摂理。
不法侵入と不法占拠した某国には・・・ね。


戦場から見えないところには裏が付き物。
表立って開戦した戦場前線でのバトルが圧倒的な迫力をもって描かれる中、
各所では様々な動きが見られていて、
一方的に見られた戦局に大きな影響を与えていたりします。
やはり今回も暗躍しまくりのニャルラトホテプは本当に食えない。
今までのような外道じみた行動ではなくて、
単純にアドバイスと戦力提供している程度ではあるのですが、
それが与える影響の大きさたるや・・・
確かに単純な戦力では魔王軍が完膚無きまでに蹂躙し尽して圧勝することは目に見えてます。
事実、戦局もその方向へと動いていたわけです。
が、ニャルラトホテプが投入した戦力は、
逆に全てを押し返す勢いで魔王クラスが直接出てきてもどうなるかわからないほどに、
状況を完全に捻じ曲げてしまうほどのチートっぷり。

はい、綾香ちゃん参戦です。
ずっと裏で動いていたのがとうとう表に出てきましたね。
その威力たるや読んでて精神汚染されてSAN値が下がりそうな狂気の世界。
見た目はライトでも中身はアリスインナイトメアな世界だなー。

これ、どうすんの?
厚志さん出てきても負けそうだし・・・
一方でダッチが街で出会った一人の男がこれまた大きな波になるフラグ。
完全に気力を失って生ける屍状態になってるけど、
以前に厚志さんや桜たちが一斉がかりで何とか止めたマスケレイタその人。
綾香ちゃんがこの戦争におけるジョーカーならば、
マスケレイタは台風の目になりそうですね。


戦争せしは、変態共。
前半部分はかなりギャグ色も濃くて、
これから戦争するとは思えない日常とか見せてくれたりしています。
幕間エピソードではアクア&桜、レッド&ガーネットが、
ブルデートを繰り広げるラブコメあり、
久しぶりに厚志さんがそのバディを見せ付ける誰得見開きあり。
ブコメの方はレッドとガーネットは最終的に結ばれてほしいなぁ・・・
手を握ることさえ赤面するレベルのこそばゆさで壁ドンものですし。
しかし今回のコメディ部分で最も光っていたのは変態成分です。
以前マスケレイタに全滅させられた部隊の葬式という、
本来ならばしんみりするはずの場面において、
用意された隊長の遺品が・・・

こんなもん用意されたら微妙なんてレベルじゃない空気になるわ。
とてもじゃないけどしんみりできないし、
笑うわけにもいかないなんてどういう拷問だよ!
死してなおアレっぷりを振り撒く隊長も相当なものでしたが、
生きてる方ではベイカー伍長がマジキチすぎる。
三十路過ぎの合法ロリ相手にすら告白するほどの、
筋金入りのロリコンだったけど、
変態っぷりに磨きがかかりすぎです。
敵のニャルラトホテプがロリと知ってこの顔である。

こいつに任せたら間違いなく18禁になるわ・・・