這い寄る混沌、飽和状態 『魔法少女プリティ☆ベル』 10巻

南海決戦にショゴスの襲撃にと、
様々な攻め手を凌いできたプリティベル&魔王陣営。
徐々に戦力を削られてゆく中、
ニャルラトホテプは西の魔王・騎士王ベルベリオンの殺害計画を実行へと移し・・・
色々な意味で今最も熱く、激しく、えげつない魔法少女ものと言える本作。
厚志さんという濃すぎる存在の出オチによる一発ネタで終わるかと思いきや、
今回で何と10巻目と二桁の大台へと突入してしまいました。

片や総合的な戦力は圧倒的で負ける要素が無いとは言えども、
着実に余力を削られて内部崩壊への道を一歩一歩進んでいる魔王連合軍。
片やいくら規格外の戦力を有していても所詮は多勢に無勢、
一度失敗すれば己の敗北と死へと直結するニャルラトホテプ
両陣営とも極限状態へと追い込まれて、
どちらが優勢とも言えない戦いは一層泥沼化し、
戦況がいつどのように転ぶのか全く予想が付きません。
一応今回のラストはニャルラトホテプに対して王手をかける寸前までいってますが、
このまますんなりいくとは到底思えませんからねぇ・・・
ここからゲーム盤を引っくり返すような反則が飛び出すとも限らない。
果たして世界を巻き込んだ小規模な戦争を集結させることができるのか、
それとも更なる混沌へと導かれ引きずり込まれてしまうのか、
大きな正念場を迎えているだけに次回は必見ですね。


反則には反則を、チートにはチートを。
戦闘能力で言えばラスボス同士が戦ってるようなものだし、
一人が巻き起こした世界戦争とスケールが凄まじくなってるだけあって、
巻数を増す度に互いの底知れぬ戦闘力に驚愕させられる中、
やっぱりどこまでも青天井で反則じみた強さは上昇しっ放しです。
綾香ちゃん既に人間のそれじゃねぇよ・・・
戦闘の中で応用力を身に付けて次に活かす学習能力も半端ないし、
こんなのを殺さずに何とかしろって無理ゲーもいいところ。
さすがにこれじゃ魔王クラスが相手でもヤバいかと思いきや、
最強の中の最強だからこその魔王と呼ばれると言わんばかりに、
それ以上の圧倒的な強さでもって対抗してくるもんだからたまらない。
四大魔王の中で最も出番が少なくて影が薄かったベルベリオンでしたが、
肩書きに恥じぬトンデモっぷりを発揮してくれました。
本気を出すとこんなに強いなんて正直見くびってたわ。
そんな騎士王相手に深手を負わせるあたり、綾香ちゃんも大概ですがね。
自分が正義だと思って行動していることが結果として相手以上の悪にも転じられる。

これだけ強くて頭のいい子なんだから、
冷静になればベルベリオンの言葉の真意も察することができるんじゃないかな。


能力的な超絶レベルの戦いが繰り広げられる中において、
地味ながらも卓越した技の戦いもまた見所。
表紙を飾ってるのが三代目プリティベルの景さんだったりして、
今更引退済みのロートルが役に立つのかと見くびってたら、
普通に強くて今でも現役張れるレベルじゃないかと驚愕でした。

引退後でも神威召喚が使えることに加えて、
恐るべきはその身体能力と戦闘センス。
しかも使用する技が大江山流ときたもんだ。
まさかこんなところで大江山流護身術道場と繋がるとは思いもしませんでしたよ。
半端ない、マジで護身術半端ない。
大江山流〜の中でイタカさんっぽい人が「魔除けさん」として登場していたのが、
よもや他の誰でもない本人だったとは・・・

今回の中扉でそちらの主人公だった睦月が
イタカさんと会話してるシーンが描かれてますし、
巻末ではバーぴぃ作品に登場する魔王が揃い踏みしていたりもするし、
意外なところで意外な繋がりが見られて何だか嬉しかった。
次は天空の扉あたりで各作品のツインテールキャラを集めてほしいですね。
本作にはそれに該当するキャラはいませんが・・・


エロスとグロの狂宴、それは紙一重にて。
さすがに成年漫画も描かれてるだけあって、
毎回のように性的なシーンが飛び出したりもするわけですが、
今回はそれに加えてグロ要素もいつもより強い気がしますね。
別に今回に限った話でもないし、前回も四肢を折られる触手攻めとか、
かなりハードな描写もあったわけだけども、
軽くそれを凌駕してると言いましょうか、
一言で言ってしまえばモツパーティー

複製されたダミーではあるにせよ、
開幕からニャルラトホテプと綾香ちゃんのグロシーンが出てきたりして、
本作、強いてはバーぴぃ作品におけるえげつなさ全開です。
さすがに10巻目だからいきなりここから読み始める人はいないと思いますが、
何の予備知識も無く読んでこんなん見たらトラウマになるわ・・・
ずっと読んできてればそういうものだと割り切れちゃったりするんですけどね。
ぃゃ、魔法少女ものでグロシーンが普通と思えるようになってること自体、
根本的に思考がおかしくなってしまってるのは否定できませんが。
ここに限ったことではないけれども、
今回のニャルラトホテプはもう一つビジュアル的に見ていてすごく痛いシーンがあって、
ある意味ではこっちの方がエグいと言えるかも。

剣が顔面に・・・眼球に・・・
これはあかんやつやわ。


グロ方面で絶好調な一方でエロスも全開なのが今回のニャルラトホテプ
綾香ちゃんと裸で抱き合ったりして肌色率が非常に高いです。

むしろ着用している衣装が偽プリティベルのあの服装以外、
申し訳程度に局部を隠してる程度の代物にしかなってません。
その衣装ですら乳首立ってるのがビンビンに見えちゃってますし・・・
両方面に対して隙の無い展開っぷりはまさに混沌の為せる業です。
巻末のCMコーナーで本作自体が這い寄る混沌と銘打ってますが、
全くもってその通りだよ!


混乱に乗じるか、治めるべく奔走するか。
本作の大きな特徴の一つが意外なまでにガチな政治ネタ。
今回はバトル展開が中心なので若干色は薄めではありますが、
それでも痛烈なる皮肉とともに語るべきところは語ってます。
主柱が傾いたことで独立を果たそうとする愚者、
己の命と未来とを天秤にかけられ苦悩しながらも愛国心だけは捨てなかった愚者。
押し迫った状況だからこそ人の本性ってものが現れるものですね。
売国奴・・・か・・・どこぞの政党に聞かせてやりたい。
あとがきで政治ネタについて言及しており、
やはりと言うか何と言うか、否定意見も多い賛否両論だそうで。
難しくて話が難解になる、ジャンル的に求めてない、
そんな意見もあるのは少なからず思う節もあるから間違いない。
でも、昨今の国会中継なんかは下手なバラエティーよりも、
全然楽しめるし笑えるって意見があるのもまた事実。
そういう意味では身近に転がってるネタですよね。
そりゃそういう話が組み込まれるのも無理はありません。