恋か、愛か、それともエゴか 『神のみぞ知るセカイ』 19巻

神のみぞ知るセカイ 19 (少年サンデーコミックス)

神のみぞ知るセカイ 19 (少年サンデーコミックス)

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神のみぞ知るセカイ 19 (少年サンデーコミックス)

ヴィンテージによる旧地獄復活計画の実行まで残された時間は僅か。
逆転の一手を打つために歩美の中の女神を引き出すための、
最終フェーズへ移行した桂馬たちだったが・・・
ヒロイン再攻略というキャラの掘り下げや、
ハーレム的な展開を匂わせながらも、
常に裏で動く者の存在によって緊張感も張り詰めていた女神編。
ついに迎える完結編となる今回は、
一度は振られながらも桂馬と歩美のことを同時に想い、
真実に近付きながらも応援して見守ることを選んだちひろ
友情と愛情の間でどちらを選ぶこともできずに揺れ動きながらも、
自分自身へ対して覚悟を決める歩美。
そして攻略のために全力を尽くす一方で、
二次元ではなくリアルへ特別な想いを抱くこととなる桂馬。
三人の想いが絡み合い、切なくも熱い展開によって、
クライマックスへと一気に駆け抜けています。

女神が全員復活して計画を阻止できたことで、
ひとまずの区切りを迎えますが、
むしろ桂馬自身の救済って意味ではこれからが始まりですね。
ヴィンテージが壊滅したわけでもないし、
リューネなんかは露骨な再登場フラグを立ててますから、
新たな騒動と戦いの時は案外近そうですね。
兎にも角にも一度読んだ後だと、表紙を見ただけで切なすぎてヤバい・・・
よりにもよって最高の笑顔すぎるちひろだなんて・・・
報われない結果になっちゃったけど、間違いなく一番のヒロインだったよ・・・
クライマックスを飾る文化祭ライブのシーンは、
様々な想いが浮かんで消えて、とても切ない気分になりました。


世界の命運を賭けた一世一代の大告白大会。
終わってみれば歩美が完全に正ヒロイン状態になってますね。
確かに当初から扱いの大きさは別格だった。
駆け魂編の最初に攻略されて、女神編では最後に攻略されて、
先駆けと殿を両方こなした唯一のキャラですからね。
一度攻略された後、まだ女神の存在すら知られていない頃に、
はじめて再登場したのも歩美だったし。
それだけ出番も多かっただけに、
改めて攻略されるラストスパートは大盛り上がりでした。
邪魔をしているようで実は捨て身のサポートにちひろの健気さ、
既に計画が実行に移され始めて時間の猶予も無い緊張感、
失敗すれば全てが終わる綱渡りの中で自分らしさを全力で発揮してぶつかる桂馬、
全てが非常に熱いのです。
恋じゃなくて愛まで言わしめるとは・・・

しかし今回のことで桂馬自身は一体何を思うようになったんでしょうね。
今までなら攻略のための犠牲も厭わないような考えだった筈なのが、
ラストで抱いているのは間違いなくちひろへ対する罪悪感。

もしかすると攻略とか関係なしに、
本当にリアルへ恋していたのかもしれませんが、
今となっては知る術も無く・・・
二人が流し、夜空とステージの光へと消えていった涙は、
いつか報われることになる日がやって来るのでしょうか。
熱くも切ない展開には終始胸を締め付けられる思いでした。


新展開の到来と共にやって来たOVA
すっかり特装版がお約束となっている本作ですが、
今回はアニメ収録のDVD。
しかも本編7巻に当たる天理編をがっつり収録していますから、
ある意味第三期が始まったと言えなくも無いですね。

12月に発売される20巻との前後編構成となっていて、
ここまで出した以上は本格的に三期を開始するか、
或いはOVAをリリースし続けるか、
何らかの形で続きを女神編まで含めてやってもらいたいものです。
実際、天理編って古悪魔とか女神とか、
根幹に関わるキーワードがいくつも出てくる伏線回でもありますからね。
ストーリー自体は本編準拠なので大きな違いは無いですが、
やはり天理&ディアナとノーラさんに声が付いて動いてるのは大きいです。
この頃のディアナはまだツンってるなーってのもあるけども、
ぃゃー、動いてる天理はエロいなー。
何故かはわからないけど、他のヒロインと比べて妙にエロスを感じてしまう。
そしてしっかりと登場するよっきゅんは相変わらず安定のよっきゅんだった。
例の溶けるシーンは原作以上にホラーだったけど・・・