生と死と変態と 『神さまの言うとおり』 4巻

神さまの言うとおり(4) (講談社コミックス)

神さまの言うとおり(4) (講談社コミックス)

しりとりの法則によって行われていた生存競争から生還した瞬たち。
「神の子」となった三ヵ月後、新たな戦いの幕が開く・・・
年頃の少年少女たちがゴミのような勢いで死にまくる本作。
新章へと突入する今回も情け容赦ない展開の数々で、
仕掛け側のユーモラスなビジュアルに対してこれでもかってくらいに死にまくりです。
日本全国108箇所から勝ち抜いた者たちによるデスゲームは、
未だ終わりの無き悪夢として襲い掛かります。

この勢いだと本当に次は世界各国の生き残りたちと、
最後の一人になるまで続きそうな感じですよね。
今は生き残るために仲間として同行してる天谷とは最終的に殺し合いそうだし。
当事者たちのみならず、世の中まで狂い始めてきたことで、
更に異常性が際立ってきましたが、
本当に神を選出するためだけの目的なのか、
本作でいうところの神とは一体何なのか。
少しずつ核心に近付きつつありながらも、
未だ真相も結末も見えてこない現在からどう展開してゆくのかが楽しみですね。
勿論メインキャラすらあっさり死ぬような容赦ない展開も。


生存者311名、更なる死線へ。
謎の立方体から脱出して神の子なんてもてはやされて、
これで終わりだなんてことはありえないという予想通り、
今度は生き残った者たちによる第二ラウンドの幕開けとなりました。
前回まではしりとりに則って登場した郷土玩具のシュールさが、
失敗すれば即死の恐怖を際立たせてくれていたのですが、
新たに始まったゲームはしりとりラストの「運」から続く「運動会」。
つい先日まで世界的な運動会とも言える、
オリンピックが開催されていた今日にはある意味タイムリーですね。
乱れる髪、吹き出す汗、そして飛び散る血飛沫と肉片。

ぃゃ、この運動会参加者って3巻までのデスゲームを勝ち抜いてきた筈なんですが、
そんなことお構いなしに死にまくってますね。
第一競技の「ときょうそう」ならぬ「どきょうそう」も、
後ろから追いかけて来る実行委員に捕まれば死に、
レース開始時に提示される○×クイズの答えと間違ったゴールに入れば死に、
ゴールできても最下位ならば死ぬ。

ゲームのルールからして絶対に誰か死ぬってあたりが鬼畜すぎる。
最近のゆとり教育で見られる、
手を繋いでみんなで一等賞なんて甘い考えは全否定ですよ。
自分が参加させられたら実行委員に捕まって死ぬな・・・
しかしこんな状況でエクスタシー感じてるとか、
盛大なカミングアウトしちゃった秋元さんド変態やなー。
死線に巡り合わせたときの脳内麻薬の量は半端じゃないだろうけど。


狂いゆく世界、迫るは神の正体。
生き残りを神の子と称するようになって、すっかり狂ってしまった世界。
古来キリストとか仏陀のような聖人が存在していた頃は、
こんな風に信仰されたりしていたのでしょうか。
とにかく民衆が宗教じみてきていて怖い。
マスメディアの扇動次第では一般人さえ狂信者にさせる可能性さえあるってことですね。
本人たちは当然のこと、身内にとってもストレスは半端じゃないだろうなぁ・・・
瞬の母親なんて廃人寸前に追い込まれちゃってるし。
涙ながらに送り出す姿は本当は行かせたくないって気持ちに溢れてて、
嗚呼、戦時中に徴兵された息子を送り出す母親ってこんな心境だったんだろうなと。

そんな中、今まではデスゲームに参加させられていた当事者たち視点が中心ではありましたが、
今回はそれとは少し違う方面からの話も展開されるようになってきていて、
少しずつ核心に近付いてきている感じがしますね。
1巻の頃からずっと少しだけ出番はあったものの、
ゲームとは全く別の蚊帳の外だったから、
話に絡むことはないと思っていた一人の引き篭もりニート
登場した自称神の正体に心当たりがあるってところから、
まさかの家を飛び出しての活動開始ですよ。

真っ先に真相に飛び込んできたあたり、
実は影の主人公ってこいつだったんじゃないだろうか・・・
こっちから迫る方が如何にデスゲーム側と関わってくるのか。
今後はこちら側の行動も見逃せませんね。