けいおん!フォーエバー 『擬態』

  • タイトル:擬態
  • サークル:らぐほ

ある日、部室に顔を出したら唯が二人になっていた。
もう一人の唯は一年後の未来からやって来たと言うのだが・・・

アニメ版の絵に非常に近い画力と、
一筋縄ではいかない展開に結末とを兼ね合わせ、
着実に知名度を広げつつある本サークル。
その溢れるけいおん!あずにゃん愛は知る人ぞ知るところではありますが、
原作は続編も完結を迎え、アニメも先日劇場版のBDが発売され、
けいおん!という作品そのものに一つの区切りが付きつつあるこの時期、
全ての思いを込めた本作が登場したのはある意味必然かもしれません。
当初こそ未来から唯がやって来て、
更に未来からもやって来て増殖する話は、
ドラえもんの1時間ずつ先から自分を連れてきて
宿題を手伝わせるエピソードを彷彿とさせます。
が、後半に向かうにつれて増殖の理由が明らかになる頃には、
ただの二次創作の枠を超えたメタな話にまで言及することとなり、
そこに秘められたメッセージ性の重さが半端なものじゃありません。
巻末のあとがきも解説も含めて上下二段の丸2ページかけているという、
あとがきとしては異例の大ボリュームからしても、
如何にけいおん!という作品に愛を持っていたかが窺えます。


そのタイトルが意味するものとは・・・
最初聞いただけでは内容を想像することなど到底不可能ですし、
表紙もいたってシンプルなものであったりと、
一目見た時点からしてかなり異質な雰囲気を放っていたりします。
が、表紙は実はカバー付きでカバーを外すと唯軍団がお目見えしたり、
内容のみならずタイトル自体にも深い意味が持たされていて、
そういう意味では本作の全てが「擬態」しているとも言えます。
詳しい解説はあとがきにて記載されていたりしますが、
一度読んだだけで思惑の全てを理解するのは相当に難しいです。
繰り返し読んでみることで本編の内容に擬態された、
メッセージ性の本性を知るとその頃には語るべき言葉すら失ってしまいますよ。

今回はかなーりネタバレ厳禁な感じなので、
メタな話のくだりなどは事前情報なしで自らの目で確認してほしいですね。