女子(男の娘含)寮へようこそ! 『しらかば202』

しらかば202 (真激COMICS)

しらかば202 (真激COMICS)

過去のトラウマから男性恐怖症になったガチ百合のみよ。
入寮した大学の女子寮で同室になったのは女子力溢れる男の娘で・・・

ととねみぎ氏と言えば昨年まで連載時はきらら最長寿作品だった
ねこきっさを連載していたのも記憶に新しいところですが、
今回新たに送る本作はとある女子寮を舞台とした
百合(?)と男の娘がテーマの時代の需要に則したガールズもの。
掲載誌がガチエロの18禁誌だったこともあり、
きらら等の一般的な4コマ誌ではとてもじゃないけど描けないような下ネタも満載で、
万人向けの枷が外れた分、色々とはっちゃけた内容になってます。

直近の同人誌でも18禁ではないにせよ、
お漏らしネタとかかなり自重してなかったりしますからね。
ある意味本領を発揮しているとでも言うのでしょうか。
あとがきでも下ネタ好きであることを暴露してますし。

一方で大学生活を送った身には懐かしくも感じるあるあるな描写もあり、
ただの男の娘&下ネタものに留まっておらず上手く作りこまれてます。
このあたりはさすが10年近く連載してきたキャリアを感じますね。
あまりにも懐かしくて今から6年くらい前に出た同人ミニゲーム集の
まわるめいどさんをねみぎ」とか引っ張り出してきてしまいましたし。
露骨な下ネタに抵抗がなければ一読の価値ありです。


18禁誌故の自重しないエロネタの数々。
ある意味本領発揮しているとでも言うんですかねこれは。
文字通りの「休憩」でラブホにINしてしまうなんて自然の流れ、
AVだ貞操帯だチンコだといった単語も当たり前のように飛び交ってます。
本番シーンとか裸とかのような描写はないにせよ
(水着とか風呂のシーンは除く)、
そういう単語に耐性が無いとびっくりするかもしれませんね。
とは言え、全体的に露骨なエロスというよりは
思春期真っ盛りの中学生男子が興奮するキーワード満載といった感じ。

本作から性への興味を持つなんてパターンもあったりするのでしょうか。
ぁ、でも性転換手術の術式ネタは生々しくて痛すぎる・・・
確かにそういうネタは多いけど、あくまでギャグの一要素としてであり、
全体的には高水準でまとまったギャグ作品であるとも言えます。
大学生活ネタなんてひたすらに懐かしかったですし。
やっぱり過去のレポートとかテスト問題とかって、
どこの大学でも伝統として受け継がれてるものなんだなー。

最近では古くなって黄ばんだ紙じゃなくて電子データでも増えてそうですけどね。
それで対策打たれて手書きじゃないと受領されなくなったりとかね。
講義の代返なんかも当たり前のように繰り広げられてた光景だったもんなー。
自分のいたところは点呼じゃなくて学生証をカードリーダーに通す形式でしたが。
ぁー、言ってて大学生活をもう一度やりたくなってきた・・・
人生で最も遊んでた時期だもんなー。
夏休みとか春休みが2ヶ月あるなんて今じゃ信じられませんよ。


ガチ百合と男の娘、水と油のように合わなさそうな二人の行く末は・・・
兎にも角にも終始めーこ先輩のターンなんですわ。
「ついてる」ことを別に隠したりなんかもしてないし、
最初から男ってわかってる分、女子力の高さに時折見せる男らしさが目立つんです。
弁当が塩むすびとゆで卵って・・・
かと思ったら学内では花嫁修業研究会なんてサークルの会長をやってたりするし、
なかなかにつかみ所が無くて侮れないキャラをしてます。
ずっと本当の女になるべく性転換手術の資金稼ぎをしているのだけれども、
女になりたいと思うことの真意はもっと別のところに隠されていて・・・
可愛ければ性別なんて関係ない。
この手の作品では常套句だけど、実際にその結論に至るのはなかなかに難しいもの。
割とはっちゃけたキャラの裏ではいろんなことを考えてたんだなーと。
一方のみよも男性恐怖症になったきっかけのトラウマってものがあって、
先輩のことを男として好きなのか、女として好きなのか、
揺れ動く様と如何にして二人が真に分かり合うのかがテーマとして描かれてるんですね。

最終回で繋がった心、絆の繋がりを確かめるべく交わしたキス。

ギャグ中心だった分なかなかに感慨深いものがありました。
1巻完結なのでひとまずはこれで終了ではありますが、
反響によってはもしかするともしかするかもしれません。