ドキッ!?最低野郎に女装少年が大胆接近!? 『Cross Days』 2巻

次第に言葉への想いを募らせてゆく勇気は誠の浮気を許すことができず、
路夏の想いにも気付かずに誠を陥れるために女装して接近を試みるのだが・・・

曰く鮮血の結末、曰くNice boat.
凄惨なる展開で有名なSchool Daysのアナザーストーリーとして登場した本作ですが、
勇気が女装した姿の『ゆう』が本格的に登場したことにより、
一気に話が加速してゆきます。
それぞれの想いが食い違う展開は、本来切ないラブストーリー的な要素十分なのに、
みんなどこかがおかしいから昼ドラを見てるような気分になるのは相変わらず。
一体どこで火サス的な展開が飛び出てくるのかと、
ここまで見ていて不安になってくる恋愛ストーリーもそうそうないですよ。

月氏は本作の前にSchool Daysの本編もコミカライズ担当していて、
そっちの結末が案の定、血塗られたバッドエンドを迎えただけに・・・
全体的に泥沼展開であることは変わりないし、
誠のアレっぷりと浮気性については何も解決できていないにせよ、
路夏はしっかりとヒロインしていて可愛かったし、
とりあえずはハッピーエンドな終わり方で安心しました。

何よりも血が流れてないよっ!?
流血沙汰を期待してしまう時点でおかしいのですが、
本作のように無血エンドもたまにはいいものです。
どう考えても悲劇的結末しか予想していなかったので、
いい意味で裏切られましたね。
帯書きによると新作のSHINY SUMMER DAYSもコミカライズ企画進行中のようで、
早くも今から期待に胸高鳴ってきた。


女装で誠を貶めようとした作戦の行き着く先は・・・
開幕から『ゆう』に対する誠の釣られっぷりも凄まじいし、
正体がバレて直接的な手段に出た結果待ち受けていた衝撃の結末も凄まじい。
誰が予想できたでしょうか。
誠・言葉・世界の三人の関係が浮気でも三角関係でもなくて、
最初から一夫多妻状態だったなんて・・・

三角関係のもつれから生じる惨劇と言う、
School Daysの前提そのものを覆しただと!?
既に二人とも調教済みだなんて、本作の誠は何てハイスペックなんでしょう。
事実を知ってしまった勇気の反応もまた凄まじかったです。
まるでホラー作品で未知の怪物と遭遇した瞬間さながらだし。
それにしてもこのシーンの世界のどや顔はイラッとくるなー。
ある意味本作において一番アレだったのが世界だったし。
言葉もやっぱり根本的なところが何かおかしい。

鋸までは取り出さなかったにしても、コトノハサマが降臨しかかってます。
と、スクイズ本編組の存在感が半端なくデカかったり、
全てにおいて誠ありきのシナリオではあったけれども、
あくまで本作は勇気と路夏の話であり、
路夏こそがメインヒロインですから、
ストーリーとしてはこの二人の関係がどうなるのかが一番の焦点です。
言葉を誠の手から救い出したい一心で女装までする勇気、
勇気のことが好きになり、何とか気を引くためにあろう事か誠に相談してしまう路夏、
言い寄ってくる女は全員喰う気満々な平常運転の誠、
そんな誠のことが好きな言葉。
何たる想いの一方通行スパイラル。
この連鎖が如何にして断ち切られ、双方向となるかです。
好きって気持ちを伝えられない不器用な路夏は確かにヒロインでした。
途中誠の毒牙にかかって犯されそうになってしまう場面もあるけれど・・・

終始続く泥沼展開を潜り抜け、最後に見せた路夏の笑顔はめっちゃ輝いてました。


やはり大活躍の我らがダーティーヒーロー伊藤誠
前回は丸一ページ使って勇気に『伊藤誠(こいつ)最低だ』と言わしめ、
今回も引き続き帯書きで『最低野郎』と書かれているだけあって、
全てにおいて酷かった。
もうテンプレの『誠死ね』すら通り越し、逆にカリスマ性すら感じてしまうほどですよ。
確かに何かと最低極まりないし、外道と言ってもいいくらいなんですが、
それ以上に変態っぷりが凄まじいことになっていてですね。
最早紳士とすら言えない真性すぎですよ。
女装姿では初対面の『ゆう』相手に出会った次の瞬間には家に誘ってるし、
二度目の対面でハァハァ言い寄った挙句にキスしちゃうし、
それで拒絶されたらされたで快感を覚えちゃってるし・・・

終いにゃ勇気の女装がバレたところで両刀なことまでカミングアウト。

ダメだ、この誠は下手なギャグを見てるよりも全然笑ってしまう。
ハァハァ誠は手が早すぎて吹きそうじゃなくてむしろ吹いた。

とは言ってもギャグ要員としてではなく、悪役としての変態さなので、
やはり全てにおいて何かがイカれてます。
種馬すぎることとか、浮気上等だったりとか。
完全に悪役の立場になっていることについては、
『ゆう』を出すためとか、あくまで勇気と路夏の話を描くためだとか、
カバー下でその理由が語られてはいるけれど、
誠としてはたぶんこれくらい酷い方がしっくりきてしまう罠。