それは姉としてできる精一杯の愛情表現 『鬼灯さん家のアネキ』 2巻

義理の姉と弟、微妙な立場にありながら姉弟以上の感情を抱く弟吾郎と、
吾郎への愛ある悪戯こそが生きがいとも取れる姉ハルとの
若干歪んだ家族愛が描かれる本作も早いペースで2巻目となりました。

この二人にとっていじりいじられの関係は息をするかのように自然な光景ですが、
傍から見ていると本当にラブラブじゃねぇかこいつらと微笑ましく見えるわけです。
姉弟関係以外にも吾郎のクラスメイトである水野さんと
進展しているようで全然進展していないような付かず離れずなところや
一方的に吾郎だけが男だと勘違いしている京ちゃんとのドッキリ展開に

散々いじり倒している中で見たハルの『姉』としての覚悟など、
色々なところで見所が多いです。
そんな中で今回の出番はほとんどなかったけど、
変態にしてドMの美咲さんはキャラぶれてないなぁ。

キャラ紹介でも痴女と明言されちゃってますし。
ハルの悪戯とは別にこっちの変態っぷりも相当に凄まじいので
もうちょっと見たかったかも?
今回の出番くらいの方が本来の話を強調するにはいいのかもしれませんけどね。


ひたすらにいじり倒す手口は多様化するばかり。
全体的にエロ系のパターンが多いかな?
本人にとっては大事でも悪意がないだけにどこか微笑ましい。
同じ誰かをいじる行為にしても、
自分が楽しむことだけが目的の芽衣子のそれとはやっぱ違う感じがします。
だからこそ毎回最後は芽衣子のことを叱りつけて反省させているハルがいるわけですし。
愛がなければ一緒に吾郎いじりを楽しんでしまってるでしょうからね。
しかしいとこを使ってまで悪戯を仕掛けてくるとは思わなんだ。

顔つきがハルと同じだからてっきり本人がカツラでも付けて変装してるかと思ったのに。
ゲストだからもう出ないと明言されてしまっているのがちょっと寂しいところ。
本編の舞台になってる町に遊びに来るとかはないのかな。
ハルが二人になったみたいな風で吾郎のいじりがいがある気がしなくもないですが。
むしろこっちはこっちで可愛いからもう一度見てみたいのが本心ですけど。
勿論ハルも可愛いですよ?
身長差のアドバンテージを利用されて吾郎にプリンおあずけくらってるリアクションがとにかく可愛かった。


一人の『弟』を持った『姉』としての苦悩。
ひたすらに吾郎に対して悪戯しまくるのは明らかにハル自身が楽しんでいるのはありますが、
そこにはそれ以上に弟へ対する姉としての想いがあったのでした。
二人が同居し始めた直後の吾郎の別人っぷりがすごい驚きなんですよね。

今でこそ姉好きゲーム好きの健全な助平ではあるものの、
当初は完全に根暗以外の何物にも例えようがないほど。
家で誰かと話すわけでもない、ゲームとかするわけでもなくふさぎ込んでいるだけ。
こんなのが同じ家にいたら何とかしようと思うのは家族の常。
ちょっとしたハプニングから今の関係への兆しが見えてくるわけだけど、
これを見てしまった以上は全て愛しか感じられません。
吾郎はハルのことが好きで笑顔を見ていたいから何をされても大丈夫、
ハルは『姉』として吾郎に人生を楽しく過ごしてもらいたいから悪戯を続ける。
奇妙な関係だけど一つの家族の形なんだろうなぁ。
一度ハルが吾郎の実の姉である楓に対しても本心を明かしてますからね。

例え血が繋がっていなくても、そこには確かに姉としての覚悟がありました。
とすると、あとは姉として以上の感情を抱くことになるのかでしょうか。
果たして巻頭カラーのように二人が添い遂げる日がやって来るのか・・・

このエピソード自体はオチが付いてるけど、
オチの部分だけ除いて現実になればいいですね。
今のところは吾郎と結婚なんて悪夢とか言い張ってるけど、
それは本心なのかあくまでいじるための口実なのか。