落とし神、死す!? 『神のみぞ知るセカイ』 9巻
- 作者: 若木民喜
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2010/06/18
- メディア: コミック
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一部製作スタッフやメイン原画、CV担当等の情報が小出しに明らかになってきた現在。
作者の逆転人生劇場が既にネタレベルな状態となっていますが、
本編の方では最近衝撃的な展開が続いていた中においても、
桂馬自身のアイデンティティが崩壊しかねない大事件が起こってしまい・・・
とにかく何かが違う空気は表紙を見た時点からもわかると思います。
ええ、これまで何人ものヒロインが登場して、
今回収録されているエピソードが既に16。
巻数よりも全然多いヒロインキャラが出てきているにも関わらず、
表紙だけは終始桂馬オンリーにこだわっていたのに、
(ラノベ版とかポスターファンブックではエルシィとかハクアも表紙に出てますが)
そこにいたのは似ても似つかない容姿をした和服少女。
このあたりは帯にもきっちり但し書きが書かれている通り、
見た目は違いますが、中身はきっちりと桂馬ですのでご安心を。
愛用の携帯ゲーム機『PFP』もちゃんと持ってますしね。
ただ、今回のような表紙に至った話の顛末と言い、
毎回衝撃的な発言をしてくれるディアナの口からまた新たな事実が飛び出したりと、
実に息をつかせぬ展開のオンパレードでした。
色々と衝撃の展開を迎える今回ではありますが、
相変わらずキャラは魅力的です。
第一印象ではイマイチかなーと思っていたとしても、
各エピソードが終わる頃には可愛いじゃないかってなってしまってるんですよね。
七香さんは特に顕著なキャラでして、段々関西弁にハマってくわー。
なかなかに大げさすぎる将棋の描写もありますし。
と言うか鬼殺しとかパックマンとかすごい打ち手なんですが、
本当にそういう名前の戦法があるから驚きです。
実際にある打ち手は意外と強烈なネーミングなものが多いですからね。
ミレニアム囲いだの、串カツ囲いだの、箱入り娘だの、カニカニ銀だの、中田功XPだの・・・
しかし攻略のためなら桂馬は実に強い。
自分は五月陣戦くらいしかこの手の将棋ゲーは記憶にありませんがね。
むしろ麻雀とかが多かったりしますし。
麻雀ゲームで覚えた知識と言えば、宇宙麻雀とか亜空カンとか・・・
さりげなくディアナもちょっとデレの部分を出してきたりとか侮れません。
普段の髪型とはまた違う、リボンで結んでない純粋な三つ編み姿になったり、
ファーストキスのことについてつぶやく時の赤らめ顔ときたらもう。
満更でもなかったってことか!?
とりあえず結んでない髪型の方が好きかも。
ギャルゲ界の神、『落とし神』に訪れるかつてないほどの危機。
今回の表紙を見ての通り、桂馬の外見が女となってしまっていて、
ラブコメとしては一つの常套句とも言える人格入れ替わり展開。
当初は普通に入れ替わったことで数日経ったらやっぱり元の身体がいいとかなって、
そのままエピソード完!とか、本編中の桂馬のごとく甘く見ておりました。
攻略ルートのエンドに向かうどころか段々と悪い方向へと向かっていき・・・
もう異性の身体になったからお約束の『ついてる』とか『ついてない』とか、
既にそんな軽いノリの話じゃなくなってました。
だってねぇ?入れ替わってしまったことを肯定してしまって、
ずっと他の誰かとして生きることになってしまったら。
身近にいるはずだった相手がいつの間にか見知らぬ誰かとなっていて、
そうと気付かずにその相手と生活することとなってしまっていたら。
このままではいけない、超えてはいけない一線を超えてしまうともう引き返せない。
わかってはいるのにその一線を超えてしまい、
自分が次第に自分じゃなくなってゆくアイデンティティの崩壊。
こえー、人格入れ替わりネタこえー。
確固たる自分を持っていた桂馬ですらそれは例外ではなく・・・
あろうことか乙女ゲーに手を出してしまって
腐女子へと転落する道を着実に歩みだしてしまうところは普通に怖いです。
エルシィですら思わず絶句したほどですからね。
それはまさに作中にも出てきているかのニーチェの名言『神は死んだ』瞬間。
宗教的な思想のそれではないけれど、『落とし神』としては一度死んだも同然です。
そこに救世主となるのか、現れた意外な人物が境地を切り開くこととなるのか。
何はともあれ本エピソードの完結編に期待です。
桂馬に訪れた災難もさることながら、
段々すごいことになってきた神と悪魔の争いからの顛末。
これまでも駆け魂は悪魔の魂だの、ディアナたちがかつて地獄を滅ぼしただの、
散々驚かされてきたので、そろそろ驚かないぞと思っていたら
見事なまでに度肝を抜かれました。
今まで攻略してきたヒロインたちの中にディアナを内に有している天理のように、
同じく女神が封印されてるのがいるときたもんです。
しかもその影響で記憶は残っていると・・・
攻略したヒロインの攻略中の記憶は消去するって前提が消滅した瞬間です。
そう思うと実は全員それっぽいフラグを感じざるを得なくなってしまうわけですよ。
改めて1巻から各エピソードの結末を読み返してみても、
確かにいくつかパターンがあったりするんです。
- 記憶が消去されて明らかに『思い出せない』と明言している
- 完全に記憶が消えたわけではなく、おぼろげながらに覚えているような節がある
- 駆け魂捕獲後に桂馬とコンタクトしていないので、記憶がどうなったのかが不明
うん、どのパターンでもやっぱ全員怪しいわ。
その場では忘れてたとしても内に眠っている女神が覚醒した瞬間に
全てを思い出すなんてこともありえないとも言えませんから。
もしかすると全員そうだったりとか考えたりもしてしまいます。
そんな中で誰に女神が封印されているかもわからないうちに訪れる衝撃のラスト。
第一候補として挙がったのは当人のエピソード以来、
本当にすごい久しぶりの登場となったあのヒロインで・・・
と言うか1巻以来だから8巻ぶりの登場ですよ。
展開的に楽しいことになってきた中で、
以降も続々と一度きりの出番だったヒロインたちが再登場すると考えると胸が躍ります。