藤原ここあ短編集 お嬢様と妖怪執事

新世代の執事とは・・・


タイトルにもなっている異色の執事を始めとした4編。
コメディ寄りが多いかなと思いきやシリアスな話もあったりと。
短編で一話完結と言うのはそれだけ話をまとめる分にも制限がある中で、
笑えて思わずじんわりと来てとバリエーション豊かに仕立てたのはさすがです。

  • お嬢様と妖怪執事

お嬢様は一人では階段すら上がれないほどの超虚弱、
執事はその家に仕える=繁栄をもたらすと言う発想の元、
まさかの座敷童だったり。
人間じゃない執事なら黒執事のセバスチャンが悪魔だったりしますけど、
家の者に仕えることで幸福をってのは意外と盲点。
ただ居るだけじゃなくてめっちゃ能動的だし、
その上執事服だしどこが座敷童やねんと突っ込みもなきにしにもあらず?
『毬』を持っているってところだけはそれっぽいのだけれど、
球状なら何でもいいんかい!
と言うか何の勝負ですか。

  • 山田

シンプルなくせにインパクト十分なタイトル通り、実に変態でした。
一番わかりやすい例えをするのであれば、みなみけの保坂。
ナルシーで変なポーズを決めまくって制服の胸元ははだけてて、しかもホモ?
嗚呼山田キモいよ山田。
ぃゃ、こんな生徒を受け持ったら教師としてはえらく大変なんだろうなぁ・・・
不良とかの方がまだ扱いやすいかもしれません。
我が道を行き過ぎて金八っつぁんの指導とか絶対通用しそうにないタイプですからね。

  • ストレイドール

男が人形好きだっていいじゃないか!
別に変態人形マニアの話ってわけではありませんけど。
(話の中でそういう誤解はされてますけどね)
誰でも少なからず人形なりぬいぐるみなり持ってたことはあると思うんだ。
愛でる気持ちってのを忘れないようにしたい、そう思います。
何気に世界設定が怖いと思ったんだ。
西暦2300年、今から300年近く未来の話で、
地表の全てが砂漠化した地球・・・
300年先とかの直近ではないにはしても、
1000年、2000年先を考えるとありえない話じゃないところがリアルでねぇ。

  • 私は

これもまた短いタイトルで話のそのものを語ってますね。
発端となった写真を見て『私は』こう思った。
『私は』淋しくない、『私は』淋しい。
『私は』こう生きていこう。
何かを生き甲斐に持つってことは、他の何かが希薄になるのかもしれません。
本作ではそれが写真と人間関係に置き換えられた一つの例であるけれど、
他の何かであってもそれは例外とは言い切れないのかなぁ。
そうしてまで貫く自らに共感する人がいるのであれば、
『私は』その人のために頑張ろう。