衝撃の●●●●デビュー!? 『百合男子』 4巻

学校行事でスキー合宿へとやって来た啓介たち。
そこで巻き起こった事件を発端に、
人間関係が大きく揺れ動くこととなり・・・
百合姫という可憐なる花の中に一輪咲いたドクダミの花。
紛れもなく百合がテーマながらも、
読者視点が中心というひたすらに異色すぎる本作も4巻目。

前回は当初から出てきていた沙織&茜の出番が全く無くて、
徹頭徹尾完全に野郎ばっかりの男臭い中において
スラムダンクのパロ全開という暴走ぶりを見せていましたが、
むしろ今回の主役は沙織さん・・・って何じゃこりゃー!と、
ある意味前回以上に衝撃的な内容になっております。
正しく「百合」ってカテゴリとしては間違ってないのだけれども、
予想の範囲を超えてくるあたりはさすがですわ。
これでおおよその相関関係が確立されたことですし、
各々が持つ百合好き人間としてのアイデンティティがどのように暴走していくのか。
益々こじれる人間関係から目が離せません。


主役は遅れた頃にやって来る!?
タイトルが表す通りに本作の主人公は啓介ですが、
今回に限っては沙織さんが主役と言わざるを得ない。
スキー合宿でキャッキャウフフかと思いきや、
雪崩に巻き込まれて遭難とかクライマックスすぎて、
普通の単行本的な展開の流れなら間違いなく中盤以降のイベントが、
開幕から発生するもんだからその時点でも何かがおかしい。
吊り橋効果もあって一気に男女間の恋愛モードに突入なんてそんなことはなかった。
ええ、むしろ合宿後こそが本番でした。
そもそも今まで啓介⇒正二郎⇒ポニーと、
本当に百合漫画なのか疑わしくなること間違いなしな表紙だったのが、
今回は途端に沙織さんになってる時点からして怪しいと思っていたら、
見事にその通りだったよこんちくしょう!

まさか沙織さんが鮮烈なる百合女子デビューを果たしてしまうだなんて、
一体誰が予想できたでしょう。

しかも直接的な原因となった本がなもり先生のゆりゆりときたもんだ。

ゆりゆり (IDコミックス 百合姫コミックス)

ゆりゆり (IDコミックス 百合姫コミックス)

確かにあれは入門書に最適ではありますけどね。
そして修羅の世界に引き込んだ皐さん。
明らかにそれと見られる行動は以前から見受けられてたけども、
やっぱり師匠が百合男子だってこととか全部知ってたのかよ!
黒幕オーラは本物だったか・・・


人間関係はより過激な方向へ。
沙織さんが百合女子化してしまったことで、
全てがどういう方向に向かうか全くわからなくなってしまった今回。
啓介とは百合作品を紹介してもらう関係になった一方で、
茜や涼にまで布教活動を行ってしまうとか、
気が付けば男女問わずメインキャラが全員百合属性に・・・
「どうしてこうなった」ってこういうときに言う言葉なんですね。
本作は表紙カバーがリバーシブル仕様になっているのも特徴ですが、
沙織さんの妄想が具現化された今回は過去一番の過激さを誇ってます。
と言うかマッパです。
もしかして目覚めさせてはいけない何かを目覚めさせてしまったのでは・・・
誤解からちょっとした修羅場もなきにしにもあらずだったけども、
結局百合な結末に落ち着くこととなったし、
既に見守るだけじゃなくて直接関与してしまったことも含め、
一層人間関係が面倒なことになりそうです。
まぁ一番面倒なのは啓介ですけどね。

経験則から皐さん、直接目の当たりにした沙織さんと、
実際に読んでいる読者自身でさえもこいつ面倒臭せぇと思わせるあたり、
一応は主人公としてのインパクトは健在ですね。

面倒臭いけど。