極道の娘(おんな)は可憐にて候 『花の任侠物語しずか』 1巻

花の任侠物語しずか(1) (まんがタイムコミックス)

花の任侠物語しずか(1) (まんがタイムコミックス)

東京随一の勢力を誇る極道一家由神組の一人娘・静花。
この春、憧れの学園生活を送るべく高校へと入学したのだが・・・

主人公の家がYAKUZAという、
設定からして凄まじいインパクトを放っている本作。
サブキャラとしてそういうお嬢様キャラがいたりすることはたまにあるけれども、
メインとして描かれると確かに強烈なものがありますね。
現実に跡取りが居たりした場合でも、
こんなアットホームな雰囲気溢れるってことはさすがに無いとは思いますが、
存在からしてカタギからは恐れられる方たちですから、
時には人間らしい面を覗かせてくれたりすると、
地域住民ともっと密接に関わることもできるのかな。
逃げられるか、やっぱ・・・
と、静花さんに惜しみなく愛情を注ぎ、
非常に人間らしい人情溢れる組の面々と、
そういう環境で育ってきたがための、
一般的な常識と微妙にずれた静花さんの初々しくも奇天烈な行動が楽しい本作。
さすがに主だった登場人物に強面は多いものの、
血生臭いシーンがあったりすることもないため、
どことなく和んでしまうのでした。
やっぱり誰でも娘ってものは可愛いもんですよね。


箱入りなので、箱の中の常識と世俗の常識は乖離せし・・・
お嬢様キャラがあらゆる点で世間ズレしているのは珍しいことでもないし、
ご多聞に漏れず本作でも見事なまでのズレっぷりを披露してくれているのですが、
YAKUZAとしても年頃の娘としてもぶっ飛んだ言動ばかりなので、
次に一体何をしでかすかが段々楽しみになってきますね。
学校に通えるようになって最初に楽しみにしてたのが、
愛用のチャカを見せ合うことだったりする時点からして・・・ねぇ?

静花さんの思考に銃刀法など存在しません。
逆に家の中の装飾とか組員相手にデコったりと、
年相応な一面も見せてくれるもんだから、
見ていてすごく親近感が沸いてくるんですよ。

異性の友達だと間違いなく組員が黙ってないけども、
同性だったら学校生活が楽しくなりそうです。
まぁどちらの視点から見てもぶっ飛んでる
ネーミングセンスを持ち合わせたりなんかもしてますけどね。
拾った猫を飼うことにしたのはいいとして、
命名が「幻の銀次」ときたもんだ。

まさかこんなところで名前に助詞を使ってる伝説のDQNネームを見ることになろうとは・・・


普通じゃないからこそ普通に憧れる。
静花さんほど浮世離れした環境で育ってきていると、
やはり一般的な学校生活とか家庭環境とかは相当珍しいようで、
それが故の反応が色々と初々しくて微笑ましくも可愛らしく見えてきます。
普通、これくらいの年頃の娘だったら異性と接することに、
抵抗を覚えてしまったりするようなものなのだろうけども、
強面に囲まれた生活なものだから逆に同性の友達ってものに耐性がなくて、
日常会話で赤面とか相当な破壊力がありますよ。

そんなもんだから微妙に百合っぽい空気が漂ってるのは、
おにゃのこ同士のいちゃラブ好きにはたまらないものがあるのではないかと。
途中からは女装(本人の意思ではない)キャラも登場してくるし、
まさに仁義無き学校生活ですね。