完全なる敗北、新たなる力 『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ ドライ!!』 2巻

美遊のやって来た平行世界へと飛ばされ、
さっそく敵の本拠地へと乗り込んだイリヤたち。
しかし待ち受けていたのは到底太刀打ちできない力による圧倒的なる敗北だった・・・

7月からのアニメ版開始に先駆けて、
2ヶ月連続刊行の第一弾として先陣を切ってきた本作最新刊。
次回でシリーズ通算10巻目になると思うと、
意外なロングヒットに色々と感慨深くもなるものですね。
うん、プリティサミーにしてもリリカルなのはにしても、
やはりスピンオフの魔法少女ものは強かった。
全体的に今回はバトル方面の要素が色濃く出ていたり、
ラストがなかなかに衝撃的なものがあったりと、
これはアニメ版共々期待せずにはいられませんって。
(その分、巻末おまけのギャグ成分はぶっ飛んでますが)
夢幻召喚の新たなる力を得たイリヤ
能力を引き出させるためにあえて刃を向けるクロ、
何か重要なことを隠していながらも仲間として同行するギル、
そして一切の正体不明なまま謎ばかりが深まる田中さん。
戦力差は絶望的で勝ち目が無い(と言うか実際負けてる)状況の中、
如何にして話が動いてゆくことになるのかが楽しみなところですね。


新たに得た力は切り札足りえるか!?
今までも何度も絶望的な戦力差の相手に敗れてきて、
その都度ドラゴンボールばりのパワーアップを果たし、
ギリギリの勝利を拾ってきたわけではありますが、
やはり今度も良くて相打ちレベルの際どさに溢れてますね。
敵も自分たちと同じタイプの能力を保有してるともなると、
如何に元々のスペックで勝っているかと、
常人には御しきれないそれを使いこなすことができるかにかかってるわけだけれども、
明らかに相手の方が一日の長がある時点で、
どうあっても不利な状況であることを覆すことはできない。
まして保有能力がギルガメッシュと雷神トールとか、
最初から詰んでるし無理ゲーもいいところですよ。
そりゃ無策でいきなり特攻したところで敗走するわけだわ。
ベアトリスの時点ですらこんななのに、
エインズワース当主とか絶対ヤバいだろ。
それに対抗するべく実戦で能力覚醒を促すクロは格好よかったなー。
英霊の能力を完全に引き出すことができなければ勝つことは夢のまた夢。
Fate本編の各サーヴァントの能力を身に宿し戦うイリヤの成長で少しは活路が見えてきたかも?
どちらかと言うと能力云々よりも、イリヤの英霊コスチュームに注目してしまいますがね。
セイバーの能力を発現したときの格好がリリィverだったりするのも何気に熱い。

見るからに最終形態だもんなー。
全ての決着は是非ともエクスカリバーで決めてほしいところですよ。
当然のことながら英霊の真名とかはFate本編ネタバレ全開なので、
一応そのへんだけは要注意です。
(本作読者の時点からしFateプレイ済み前提だから如何ともし難いところだけど)


両極端だからこそ笑いが際立つ。
総合的に見ればバトル要素の方が色濃い今回ではありますが、
それでも二本柱の一つであるギャグ要素が疎かになっているわけではありません。
このバランスが絶妙なところで取れてるあたりが、
これだけ長く続いていることとアニメ化とに繋がってるんだろうなー。
実際に放送されたときにテンションの高さとシュールさをどれだけ再現できるんだろう。
楽しみなのと同時に不安でもあるところですね。
真面目なバトルが終わった直後のクロ×イリヤの濃厚なキスシーンは、
久々にブチかましてくれたので実にご馳走様でした。

クロはテクニシャン、これ重要。
大人勢の残念っぷりも相変わらずで、
バゼットさんがダメットさんの片鱗を漂わせていたり、
出番が3ページしかないくせに強烈なインパクトを残す言峰とか、
存在自体がギャグになってきたような気すらしてきますよ。

言峰の場合、色々と深い事情とか知ってそうだから、
このままただのギャグ要員のラーメン屋で終わることは無さそうなので、
胡散臭さ全開なところも相まって油断はできませんけどね。
そして本編の熱さばりに全力でぶっ飛んでるのが巻末おまけ。

腐女子への第一歩を踏み出したミミさんはもはや止まらない・・・