想い想えどすれ違い 『琴浦さん』 5巻

琴浦さん 5 (マイクロマガジン☆コミックス)

琴浦さん 5 (マイクロマガジン☆コミックス)

再会した父親との喧嘩に腹違いの妹の存在が発覚したりと、
波乱に満ちた夏休みが終わって迎えた新学期。
いまいち進展のなかったそれぞれの関係が少しずつ動き出し・・・
一月期最大のダークホースとして放送当初にセンセーショナルな話題を呼び、
先日のGW中に開催されたコミティアでも
作者のスペースがすごいことになったりと、
一気に時の作品となった本作。
前回から3ヶ月の短期間にしてアニメ版の熱冷めやらぬこの時期に、
油を注いで熱を再燃させるが如く勢いで最新刊が登場となりました。
今回は今まで以上にラブコメ色が強くなっており、
全体的には琴浦さんと真鍋のみならず、
部長と室戸の関係にも変化の兆しが見られてニヤれる指数は普段よりも割増しに。

このあたりは妹属性全開の絢香による効果も大きいですね。
その一方で上げては落とし、落としては上げるという、
山あり谷ありの展開が繰り広げられるという面も健在なため、
後半になるにつれて徐々に漂い始める不穏な空気により、
何とも言えぬモヤモヤした気分にもさせてくれるのもまた然り。
それぞれがそれぞれのことを想っているが故の、
すれ違いによる歪みは徐々に拡大の一途を辿っているものが、
恐らく次回では一気に修羅場展開が到来しそうであり、
楽しみであると共に怖くもあります。


確かめ合う、互いの気持ち。
何度と無くトラブルが起こったりしながらも、
気持ちを通じ合わせて付き合うようになっていた琴浦さんと真鍋。
ブコメ作品としては直接的な告白シーンの類は今まで無かったのだけれども、
琴浦さんがストレートに「好き」って言葉を真鍋に言ったのって、
もしかするとはじめてかもしれません。

ここに至るまでの経緯を見てきていると、
おめでとうと思う一方でごちそうさまですって気分にもなります。
ぁーESP研の面子っていつもこんな感じで見てたんだろうなー。
しかし一方で見逃せないのが三舟部長。
全く相変わらずの室戸に対するアピールぶりが段々露骨になってきました。
巻頭のカラーページからおまけページに至るまで全力だし、
本編の中でも絢香とゲーム仲間の友達として接してることに本気で嫉妬して、
最終的に自分もゲーム機を買ってきちゃったりまでしてますからね。

普通ならここまでアピールされてたら気付け!と思わざるを得ない。
ぃゃ室戸は絶対わざと気付かない振りしてるとしか思えませんわ。


本気で想っているからこそ、相手のためにならぬこともある。
新キャラとして登場してきた三辻が、
実にらしいライバルキャラっぷりを発揮していて、
最終的には身を引くんだろうなとは思いながらも、
そこに至るまで一波乱巻き起こしてくれそうでドキドキさせてくれます。
基本的に金で何とかなるって考えが根本にあったり、
一度は半ば強引に拉致に近い形で琴浦さんを連れて行こうとかして、
本人には全力で嫌われているとは言え、
きっかけはともかくとして好きって気持ちは本物だし、
こういうキャラがコネとか活かして外堀から攻め始めてくると実に怖い。

悪気が無いからなおのこと。
しかも将を射るための馬としてターゲットとなったのが、
琴浦さんのあの母親だったりするもんだからまた・・・
やさぐれキャラな上にあの性格ではあるものの、
心根では娘のことをしっかりと心配している身だからこそ、
いいように利用されてしまっている姿には複雑な気分になってきます。
自分の経験があるから同じ思いはさせたくない、
真鍋のエロスな面しか知らないからなおのこと三辻のことを推したりする。
我が身が第一の父親と比べると実に親らしい。

決してそんなことを直接口にしたりはしないんですけどね。
何と言うか、この母親は本当に報われない人だよなぁ・・・
一人の女としても、親としても。
森谷さんの場合はまだ不憫って言葉で済むにしても、
母親の場合だと救われないとしか・・・


特典には禁断の罠!?
今回ドラマCDと小冊子が付いた初回限定版があるのですが、
これがまた実にネタ要素が満載でした。
3巻の生徒手帳のときとかもそうだったけども、
細かい所に色々仕込んでくるよなー。
CDはメタ的な話とかエロス妄想シーンとか満載だし、
何よりもCDを取り外した下にあるものが・・・

こ れ は ひ ど い