柏は今日も平和です 『あしたの今日子さん』 2巻

魔界の景気回復のために千葉県柏市に降臨した魔王と、
それを阻止すべく資質に目覚めた勇者が繰り広げる戦い。
世界の命運がかかっているようでそうとは思えないゆるい戦いは、
今日も町のどこかで繰り広げられ・・・

どことなくファンタジー的な設定を織り交ぜつつも、
基本は超ローカルネタ満載の日常ギャグな本作。
毎日柏を通過する沿線住民としては待望の2巻目ですよ。
今回は勇者サイドと魔王サイドの両方に新キャラも登場して、
元々騒がしかった日常が更に賑やかになってきました。

相変わらず世界の平和などそっちのけで、
日々の生活費にすら困窮するギリギリ生活を送るヘタレ魔王と、
超攻撃的なお嬢様勇者たちによるドツキ漫才的なノリで、
ぁー今日も平和だなーなんてほのぼのした気分になれますね。
意外なキャラの組み合わせなんかが飛び出して、
セレブ犬騎士のランスロットがマコト(男の娘)に惚れてしまったりする一幕も。

ゆるくもバイオレンスで変態な最前線の戦いは、
東京から電車で30分弱の近隣で行われているのでした。
あと魔王の兜でなんちゃって風に振る舞うマリさん可愛い。


ローカルネタこそ地方勇者に与えられた特権。
柏を知る人ならばお馴染みの、そうでなければ置いてけぼりなネタは、
今回も全編に渡って所狭しと散りばめられています。
この手の作品でよくある実在の街をモチーフにしているどころではなくて、
風景から施設まで何もかもが現実の柏そのものという、
リアル聖地仕様になっているところは大きいですね。
表紙からして1番線ホームの登り電車に乗ってたりしますからね。
もう電車の座席が聖地になっちゃってますよ。
駅前のビックカメラ、そごう、マルイ、高島屋のように、
降りたことがあれば一目でわかる景色もさることながら、
知る人ぞ知るカーネルサンダース三連星の珍風景に至るまで、
非常に幅広く取り扱っているあたりが嬉しくもマニアックです。
魔王はレイソルファンでリーグ優勝したことも扱ってるし、
そのうち夕方5時に流れるあの放送をパンザマストと呼ぶ話とかも出てきそうな予感。
個人的にはマルイの地下をネタにしてくれたあたりが非常に嬉しかったです。

作中ではイエローサブマリンに行ってるけど、
ここの地下はゲーセン街でもあるので学生時代はよくお世話になったものですよ。
マルチカって略称も実際に使ってましたからね。
何と言っても上野始発の常磐線で30分かからずに行けるという、
聖地巡礼するには非常にやさしいロケーションなので、
興味を持ったら是非とも一度柏に行ってみるといいと思うよ。
千葉の渋谷とまで言われるくらいだし、
割と何でもあるので変に東京まで行く必要のない利便性の高い町ですので。
最近ではガルパンが大洗の地域振興に大いに貢献してますし、
柏は本格的に本作とコラボってみればいいんじゃないかな。


変態VSヘタレ、あれ?どっちが正義だったっけ?
現代に復活した勇者VS魔王という基本の構図がありながらも、
キャラが全く肩書きに合っていないところも本作の特徴ですが、
新キャラ勢がこれまた個性豊かなインパクトを放ってくれています。
暴力勇者、ビッチ戦士、男の娘僧侶、デジタル派魔法使いと、
本来ならば標準構成のPTですらこんな面子ですから、
新規参入する味方が普通なわけがありません。
むしろここで更に新キャラを投入してしまうカオスっぷりからして凄まじいわ。
そんな新規参入メンバーは頭脳明晰な生徒会副会長、
しかもB90のきょぬー属性持ちな武闘家。
ただし運動神経が全く無い上にガチ百合疑惑ありという、
やっぱりどこかがおかしい変態だったりする罠。

末裔となるとこうもキャラが変わってしまうものなのか。
素で「変」って言えるキャラなので、これからどんな活躍するか楽しみです。
対する魔王サイドもアサシンなんて雇ったりするものの、
これまた豆腐メンタルのゆとり世代な娘だったり・・・
不景気とか言われてても案外魔界も平和に思えてきました。
まぁ魔王がアレですし。