今日もおいしく、いただきます! 『秋蘭学園たべあるぶ!』

何よりも食べることが大好きな少女・奏。
レビュー結果如何で店の客入りをも大きく左右する影響力を持つほどの、
食歩部への入部を決意するのだが・・・

百合姫で連載しているふ〜ふが一区切りしたとのことで、
新たに創作ジャンルの作品として登場した本作。
最近では大食い競技を取り扱った作品などは存在しましたが、
それとも違う店のレビューを行う活動を描いた内容は、
料理バトルもので言うなれば審査員サイドを主人公とした代物で、
ありそうでなかった展開に今までと違った感覚で見ることができますね。
食べログとかの普及で直接店を訪れたお客さんの、
生の声を聞ける機会が増えた現在ですから、
こういう作品が出てくるのはむしろ必然と言えるのかもしれません。
やっぱ料理ものは実際に食べる側に立ってみて、
大袈裟なリアクションとか無しに具体的に味が伝わるかどうかが大きいですよ。
リアクションものはそれはそれで見て楽しめるとしても、
どういう味なのかよくわからないって欠点がありますからね。
同じ食べるなら美味しい方がいい、
味を想像するなら地味でもわかりやすい生の声の方がいい。
そう言った痒いところに手が届きそうで届かなかったところを的確に突いてくれる、
そんな新スタイルのグルメ系作品の新境地としてシリーズ化してくれるといいですね。


食とは店と客との真剣勝負である。
当然客としては安くて美味しい店を求めるのは必然ではありますが、
店としても自身の売り上げと生活がかかっている以上は、
高評価を得て、それを頼りに集客率を上げたいのもまた然り。
互いが真摯に向き合って味を求めているので、
バトルものさながらの激しい描写の中でも食べてみたい意欲に駆られること請け合い。

本作のいいところは、確かな味覚と体力をもって、
全て全力で食べた上で正当な評価を下す食べる側と、
今度こそはマイナス点を覆してやろうと躍起になって、
満足させるための料理を創意工夫をもって作り上げ、
これならどうだと真っ向から食べてもらうという勝負に挑む店側が、
共に刺激し合って切磋琢磨してるところですよね。
どちらかが慢心しても成立しないこのバランス。
美味しい料理ができれば食べて嬉しい、食べてもらって嬉しい。
料理の本質ってものにすら行き着いている何かを感じますわ。
食の楽しみってものを肌で感じられますよ。
でもやっぱりあれだけの量を食べるのは胃腸も体力も強靭じゃないとならないから、
体力トレーニングの類は必須なのね。
おいしく食べるためにもまずは健康な身体ありき・・・か。