一つの別れと一つの再会 『咲-Saki-阿知賀編 episode of side-A』 4巻
咲 Saki 阿知賀編 episode of side-A (4) (ガンガンコミックス)
- 作者: 五十嵐あぐり,小林立
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2012/11/24
- メディア: コミック
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為す術無い状況の中、突破口を切り開いたのは・・・
ようやくアニメ放送版の内容に追いついて先鋒戦が終了し、
次鋒戦〜中堅戦へと映りゆく今回。
ひたすらに千里山編とか言われ続けた内容を払拭するが如く、
奮闘ぶりもストーリー的にも阿知賀メンバーにスポットが帰ってまいりました。
丸々一巻分費やした先鋒戦がいきなりクライマックスすぎたので、
残りが消化試合気味になったりしないか心配だったところもあるのですが、
いざそのときを迎えてみるとこれがなかなかどうして白熱してる。
今回分からはアニメ版での先行知識も無いから、
先がどうなるか全くわからないからなおのこと。
毎試合ごとに打ち手を超越した特殊能力が発現する様は、
既に麻雀の名を借りた超能力バトルと言えなくもないですね。
今更言うようなことでもないですが・・・
ここまでで白糸台の三人が全員特殊能力持ち。
残る二人も間違いなくそうだろうから、
実はどこぞの学園都市みたいに超能力者の育成とか、
カリキュラムに組み込まれてるんじゃなかろうかとさえ思えてきますよ。
特殊能力なしに地力で挑む憧とかセーラが格好よく見えますね。
本編とは違って「はいてない」の領域に踏み込んだ暗黒空間とか、
麻雀以外にも常人離れしたおっぱゐとか、
そういうお色気成分も薄いので純粋に試合展開にのめり込めました。
別れの選択、運命付けられた再会。
今回の重要なファクターとなるのが別れと再会。
アニメ版でもそうだったけども、
前に進むためにあえて我が道を外して一旦別れを決意する先鋒戦ラストから、
直後のメンバー一同が和と再会する流れにはシビれますね。
待望の再会シーンなのに変に馴れ合うこともせず、
決勝の場で会うことを誓ってあっさりと別れる流れも、
宿命の対決って感じを演出してますし。
まぁ本編もこちらも準決勝進行中であって、
どっちも決勝に進出したって確約は取れてませんが。
しかし隠乃は大将、憧は中堅、和は副将のオーダーだから、
仮に双方決勝に残っても直接対決するってことはないんですよね・・・
そのあたりはどうするんだろう。
卓で輝く、日常で輝く。
超能力バトル化してるとは言ってもしっかりと麻雀してるし、
やはりキャラの描写ってものがいいですよね。
先鋒戦が始まる頃はモブだと思ってたすばら先輩が、
終わる頃にはまさかここまで株が爆上げになるとは思わなかった。
照さんを止めるために怜さんとコンビ打ちのコンタクトだの、
空気を読んで流れを変えるための鳴きをしたりだの、
実働隊として最も動いてたし、心意気が格好よすぎる。
前回の「捨て駒任されました」は本当に決定的だったわ。
卓を囲めば大魔王な照さんも試合以外ではけっこう面白いキャラをしていて、
意外といい味を出してたりもしますね。
先鋒戦直後に倒れた怜さんのこともしっかりと心配してるし
(倒れたときは唐突すぎて唖然としてたけど)、
何よりカバー下では普通に面白い人になってる。
どうしても姉妹の確執もあって冷血マシーンな印象があったけど、
そういう温度差も含めて人間臭いんだろうなと思った次第。
強軍に名軍師あり。
どの試合においても誰かしらに見せ場があり、
台に向かう面子の中にモブらしいモブがほぼ皆無の戦い。
そんな中である意味選手陣以上に活躍してたのがレジェンド赤土さんだと思うんだ。
とにかく阿知賀メンバー全員に対するサポートが万全すぎる。
先鋒戦後はドラを切り捨てた玄さんのドラゴンロード復活のために、
決勝戦を見据えたがっつり二人打ちでのアフターケア。
次鋒戦でも中堅戦でも白糸台面子の特性をしっかりと見抜いた上で、
対策まで講じて的確なアドバイスを与えてる。
特に次鋒戦に至っては同じ白糸台のメンバーですら気付いてない
(しかも映像解析しても見付けられなかった)、
瞬間的なミリ単位の動作を捉えてますからね。
洞察力が常人の域を超越しまくってる。
主戦場は台の上なれど、それ以外の場所でも戦いは繰り広げられてました。
勿論そのアドバイスを活かすも殺すも選手次第。
宥姉は十二分に活かして回避した上でカウンターまで入れてるし。
本編でもあっさり流されることの多い次鋒戦だけど、
地味に宥姉の安定感は半端ないですね。
と言うかマフラーが完全に浮遊してて、
実はソウルパワーとか波紋を使えるじゃなかろうかとさえ思えてきますって。
逆に中堅戦では対策を意識しすぎるあまり本来の実力を発揮しきれてない気はする。
理屈ではわかっていても実践しようとするとそう簡単にいくものではない、
この二戦はそうした理想と現実を対照的に描いたものだったのではないかと。