矢ガモならぬ矢人間、コミュ障神様の下僕になる!? 『犬神姫の徒』 1巻
- 作者: 水沢充
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2012/10/22
- メディア: コミック
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生贄として向かった城で出会った全ての張本人と出会い、下僕となってしまうのだが・・・
見た目ヤンキーな苦労性主人公と、
相当にアレな性格をした変人ヒロインって組み合わせのラブコメも、
最近よく見かけるジャンルとなってきましたが、
その中においても飛び抜けた変態っぷりが光る本作。
ギャグ成分も強くて全体的にテンションも高いけれども、
世間知らずで育ってきた箱入りお嬢様が、
空回りと暴走を繰り返しながらも世間に馴染もうと努力する姿は、
ラブコメと言うよりも成長譚としての面が強いですね。
これがお世話しているうちに主従関係を飛び越えて、
如何に恋愛感情へと繋がってゆくことになるのか、
今後の関係性の変化には要注目です。
狐面は持ってるからともかく、読んでると犬張子が欲しくなるなぁ。
犬威さん可愛いけど絵面的にシュールだわ。
一番シュールなのは頭に矢が刺さりっぱなしの太郎丸ですけどね。
かつての矢ガモがブームになったご時世だったらニュースになるわ。
途中からは狐憑きみたいなキャラも出てきて、
こっちはどんな風に絡んでくることになるんでしょうね。
現状ただのストーカーキャラだし。
隔離もの?いいえ学校に行っちゃいます。
当初は俗世から切り離された空間で二人暮らす内容だと思っていたら、
ヤクザにしか見えない過保護な家老が登場したり、
学校にも通うようになったりと、
見事なまでにマイロードを爆進しちゃってくれてますね。
こういうのって、何か事情があって隔離されていて、
外の世界が知りたいなんて願いを聞き入れて、
掟を破ってまでも外へ連れ出すなんてパターンがお約束だと思ってたよ。
結局「掟」も過保護なだけだからだし、
太郎丸に対しては学生の本分は勉強だから学校行けとか、
確かにそうなんだけどこの手の作品でそう来るとは思わなかった。
しっかりと学校に行かせるのみならず、
未成年にネットなんかやらせたらろくなことにならないって理由で、
携帯も通話機能のみの子供用簡易式。
左膳さん見た目によらずマジお母さんですな。
まぁ確かにねー。
当時はまだそれほど普及してなかったからってこともあるけれども、
自分もネットとか携帯を使うようになったのは大学入って以降だったもんなー。
ヘタレでコミュ障、目指すは友達一人!?
何と言っても犬神姫ことアヤさんの残念っぷりが最大の見所。
荘厳さが感じられたのは一番最初の矢を穿つシーンのみというね。
初対面の太郎丸に一喝されていきなり涙目になっちゃうし。
それでも城の中だけが描かれてた頃は、
普通のお嬢キャラだなーと思っていたら、
本領発揮は学校に通うようになってからだったという。
恥ずかしいって理由だけで常時狐面装着状態ですよ。
実際こんなんいたら引くだろうなぁ。
それ以上に興味を持たれて強引に取られそうだけど。
十何年も隔離されてれば無理もない?
と、ここまでなら非常識お嬢ってだけで済むところですが、
あくまでアヤさんは「犬神姫」なので、
テンパりすぎたり昂ぶりすぎるとタタリの力を発揮してしまうのが、
ヘタレであること以上に友達作りの障害になっていたり。
犬神って言ったら呪術としてのそれが広く知られるところですからね。
しかし負のイメージばかりのキャラ性ながらも、
ヒロインとしての可愛さはしっかりと持ち合わせてます。
コミュ障なりに努力してるひたむきさを持ち合わせてるし、
何と言っても美味しいものを食べてるときの笑顔がたまらない。
これなら下僕も案外悪くない・・・かも?
左膳さんは怖いけど。