ITOの平和はローマ人が守る!? 『テルマエ・ロマエ』 5巻

テルマエ・ロマエ V 特装版 (ビームコミックス)

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現代日本からローマ時代へと帰れなくなってしまったルシウス。
住み込みで働きつつ温泉知識を吸収する中、
地上げ問題に直面することとなり・・・
Flashアニメのみならず実写映画化もされ、
知名度も随分と上がってきた本作も5巻目となり、
前回から続く伊藤温泉編も佳境へと突入してきました。

今までずっと一話〜数話の短い間隔で一エピソードが描かれていたから、
丸二巻分の長編はかなり意外な感じではありましたが、
これはこれでストーリー性が出てきて話に幅が広がった感じがしますね。
半分風呂関係なくなってきてるのはさておき。
そもそも極めて限定的なテーマでここまで続いてること自体が奇跡的なんだから、
多少の変化球だって出てくるものですよ。
(世の中にはもっと限定的なテーマの作品もありますが)
ローマに戻ったルシウスが、これまで得てきた経験をフル活用して、
治安が低俗化したバイアエをどのように改革してゆくのか、
余命短いハドリアヌス帝を立ち直らせることができるのか、
そしてさつきさんとの恋の行方は・・・
伊藤温泉編の完結編になるであろう次回が楽しみですね。


風呂入るよりも恋せよローマ人!?
全体通して風呂以上にラブコメ寄りな話になってますね。
雌馬がルシウスに惚れて会いたいがために宿に乱入してきたり、
槍と盾ならぬモップとすのこでヤクザ相手に喧嘩したり、
車を追いかけて急造の戦車で追いかけたり、
コメディと言うよりもシュール系ギャグに近いかもしれないけど。

最初こそ本物の古代ローマ人だからという、
学術的探究心から興味を持っていた程度だったさつきさんも、
次第に心魅かれていって気が付けばすっかりヒロイン化しちゃってるんだからもう。
人間も馬も雌を惚れさせるルシウスのフェロモン半端ねぇ・・・

しかしそこは本作なので、そう簡単に恋物語になることもなく、
ヤクザ相手の土地開発問題で一悶着あったり。
なかなかにベタなやり口だけど、
経済発展の裏にはこんな黒い一幕があったりしたのかなと。
結果的に一人でヤクザを壊滅させた戦闘力も凄まじいわ。
肉体労働あってこその時代を生きてきてるから根本的に身体の作りが違いますね。
最終的にルシウス自身もさつきさんへの愛情を自覚しながらも、
無情にも訪れる帰還の時。

時を越えた恋の行く末や如何に・・・
まさかこれで終わりなんて事は無いですよね?
出会うこと自体がありえなかったから自然に別れることこそが摂理とは言え、
さすがにそれはあんまりだし、結末を描ききってくれることに期待せざるを得ない。


それでもやっぱり入浴する。
どうこう言っても風呂に入らなければ本作のアイデンティティが守られません。
タイトルにだって風呂って意味の単語だって付いてるわけだし。
伊藤温泉にやって来た当初は温泉宿とおもてなしの心を身に付ければ、
今回のミッションは完了になるのかと思っていたら、
実はそれ以外にも色々と覚えるべきことがあったようです。
源泉かけ流しのための冷却装置、
針治療に整体、そして街の治安と情緒。
およそ温泉街として成立させるために必要な膨大な情報と知識を与えようとは、
何たる神の悪戯か。
しかし今回はさつきさんの祖父の存在感がとんでもなかった。
昔気質の爺さんってだけでも激渋だってのに、
これまた異様なまでに戦闘力は高いし、今回の話の根本にも携わってたりもする。
こーゆージジイキャラは好きすぎて困る。
こっちばかりに目が行って本編に集中できんわ。
ルシウスも一度針と整体を受けて、その効果は自分の身体で体感してるけど、
まさか帰ってから見よう見まねでハドリアヌス帝に整体なんてやろうとしないよね?
素人がやったらただの関節技や・・・

とは言うものの、古代ローマのみならず紀元前の時代から、
ギリシャやエジプトでマッサージが存在してたってのは驚きですね。
「マッサージ」の語源がギリシャ語だってはじめて知ったわ。