銀世界に染まる冬の日 『のんのんびより』 4巻

のんのんびより 4 (MFコミックス アライブシリーズ)

のんのんびより 4 (MFコミックス アライブシリーズ)

季節は冬を迎え、雪で一面白く染まる季節。
空気は冷たくとも人の心は温かく・・・
巻ごとに四季を描いてきた本作も4巻目となり冬。
大人になればなるほど雪による交通への影響や、
雪かきで無益なる労働へ費やさざるを得ない虚しさなど、
心も寒く感じてしまう季節ではありますが、
ただ純粋にそれを楽しむことができていた子供たちの姿は、
成長すると共に忘れてしまった純粋さってものを思い出させてくれますね。

今も昔も関東平野暮らしの身ではありますが、
学生の頃は膝の高さになるくらいまで雪が積もったりすることもあったなー。
積もれば校庭で雪合戦することだってできたんだよね。
十数年の間に随分と積もらなくなったもんだわ。
雪を見ること自体が稀になって温暖化を実感せずにもいられないけれども、
辺り一面白い景色こそが日本の冬って感じです。
あえてクリスマスのようなエピソードが存在せず、
年末年始の正月行事に比重を置いたりするあたりも、
洒落っ気などで飾らない素朴さがあってたまらんのですよ。

東京とかは仕事したり遊びに行くのはいいとしても、
暮らすならやっぱり都会の喧騒とは外れた田舎風情が溢れる方がいいなー。
これで四季を通じた一年が描かれたわけだけれども、
果たして二年目はどんな生活が待ってるんでしょうね。
全く変わりない生活が再び描かれるのもまたスローライフな感じでいいですが。


年の節目は大イベントの日々。
地域固有の季節イベントってものが最も本領発揮する季節こそ、
寒く雪降る冬であると思えます。
吹雪いて帰れないから皆で学校に宿泊し、
年賀状イラストで一悶着あり、年明け初日の出を見に山へ登り、
振袖姿で初詣をして、干し柿作りで遊び心を発揮し、
他に誰もいない雪山でスキーに興じる。

こういう日本の冬って最近では身近なようで遠いものです。
初日の出なんて一度も見に行ったことなんてないし、
スキーだって向こう10年はやってない。
改めて思うと実に色んなものを無くして来たんだなぁ・・・
歳を取ると共に忘れてきたものを思い出させてくれますよ。
実際に自分自身に経験が無かったとしても、
懐かしさを感じるのは日本人であるが故なんですかね。
今でこそ年号とか日付が変わるだけくらいの考えでしかない年明けも、
昔は夜更かしのチャンスと眠い目をこすりながら紅白見てたりしたなー。
うん、本来はこんな風に特別な思いをもって迎えるものだったんだな。

他にも冬ならではのイベント盛りだくさん。
干し柿作りでヘタレンジャイなんてふざけてみたい。
スキーにも久しぶりに行ってみたいし、
かまくらで餅とか豚汁食ってみたい。


何も無いを楽しめるのは子供の特権。
辺り一面雪に覆われるともなると、
他の季節以上に何も無さが加速するはずなんだけれども、
全員がこれまでにないくらい活き活きとしてるとすら感じます。
自分の周りの全てを遊びのネタとして見出してしまう。
子供は遊びの天才とはよく言ったものだ。
年賀状一つ、柿のへた一つ取っても話を広げてしまうわけですからね。

ゲーム機があれば全ていいだなんて現代的な考えは、
好奇心も見聞も狭くなって損ですね。
当時も今も外で遊ぶなんて面倒って考えは変わらないけど、
もっと色々と見聞広めとけばよかったとも思いますよ。
こうした自然体を持ってる皆は可愛くも輝いて見えます。
れんげみたいに初日の出とか見て素直に感動する姿は非常に微笑ましい。
ひかげとのジト目姉妹の掛け合いは見てて最高すぎるわ。
単身東京に通ってるって言っても、
こういう季節ネタなら登場の機会はいくらでもあるってことか。
前回の学園祭回だけのゲスト出演じゃなよてよかった。
しかし相変わらずの空気っぷりに更に磨きがかかってきてる越谷兄・・・
いよいよもって存在意義さえもが怪しくなってきた気がしてきました。