この夏、Gに会いたくなる!? 『ごきチャ』 1巻

ごきチャ (1) (まんがタイムKRコミックス)

ごきチャ (1) (まんがタイムKRコミックス)

人間から忌み嫌われる存在ながら仲良くなりたいと願う少女ごきチャ。
生息数が少ないという話を聞き、北海道へとやって来たのだが・・・

つい先日角川系で初の単行本となるしくしくしくしをリリースしたるい・たまち氏。
そんな氏が商業デビューするきっかけとなった、
禁断のG擬人化同人誌が正式に商業連載することとなり、
ついに単行本として登場するに至りました。
同人誌時代もなかなかに強烈なインパクトがありましたが、
帰ってきた本作は色々なものがパワーアップし、
益々ごきチャが可愛く、健気で、そして不憫になってます。

ちょうどGの活動が活発化する夏の時期に発売ってのも、
見事な狙いっぷりですね。
作中に様々な人間が出てくるけれども、
彼らの目から見た彼女はやっぱり普通のGに見えてるのかな。
現実もこんなだったら駆除どころか飼いたくなってくるのにねぇ・・・

でも実際に見かけたら速攻で殺虫剤を手に取ってるビジョンが見える。
理想と現実、二次元と三次元の壁を嫌が応にも実感させられると共に、
二次元だったら例えGでも萌えられるという、
妄想力が為せる無限の可能性を教えてくれる本作です。
なお、帯書きでは苦手な人に配慮してか、
モザイクがかかってたり「G」という記述に統一されたりしてるので、
騙されたと思って一度手に・・・
ぃゃ、本当に可愛いんですって。
Gだからって敬遠したら損ですよ。


心は純粋、身体は最強。
ごきチャが可愛いと思える最大要因は、
何と言ってもその健気なひたむきさにあると思うんだ。
自分がどれだけ嫌われてる存在であるかを自覚していながらも、
それでも人間と仲良くなりたいと願い、努力する。
普通汚い場所を餌場にする生態なのに反して、
綺麗好きで仲良くなるためなら部屋掃除をすることだって厭わない。
Gとか置いといても普通にいい子じゃないか。
こんないい子なら応援したくなるのが人の常ですよ。
いつか報われればいいのにね。
最大の不幸は日本生まれであったことなんだろうなぁ・・・
海外では種類にもよるけど無菌種をペットにしたり、
食用にしたりするのはわりと一般的みたいですし。
ぁ、でもどこぞの地上最強の生物の息子には
「これはこれは師匠」とか有り難がられるかも?
そして様々なトラブルに見舞われながらも決して諦めない不屈の精神。

小さな身体の秘めた強い心にちょっと打たれるものがありますね。
殺虫剤をぶっかけられ、猫や鳥には食べられそうになり、
子供に花火で焼かれたり石で潰されそうになり、
とっておきの非常食は本来致死毒のホウ酸ダンゴ。
常時デスゲームのサバイバル状態だけど、でも生きてる。

と言うか殺虫剤とかホウ酸ダンゴで生きてる生命力の強さはさすがG。
生きてさえいればきっといい事だってあるさ。


想いはかの人へと伝わるのだろうか。
連載Verとなるにあたって、ごきチャが積極的にアプローチを行う相手として、
新たにバイトのお姉さんが登場するようになりましたが、
G相手に奮闘云々とか以前にバイタリティ溢れすぎです。
何たって毎回登場する度に違う仕事してますからね。
美容院から工事現場での土方まで。
撃退方法も殺虫スプレーにハサミにハエタタキとバリエーション豊か。
ある意味本作における最大の被害者とも言えるのが彼女かもしれません。
一般的視点から見たらGに懐かれるなんて・・・ねぇ?
意思疎通手段でもあれば別だけども、
たぶん最後まで分かり合えることは無いんだろうなーと思ってしまいますね。
人間のわからないところで努力してるんですよ?
散乱してしまったゴミ捨て場や机の中を整理したり、
落ちたコンタクトの場所を教えようとしたり。

しかし結果は言わずもがな。
夢の中で神にすら友達拒否される彼女の明日は何処へ・・・
最後には同人誌版にも登場していたチャバネGのちゃばも登場して、
凹凸コンビのサバイバルは更なるトラブルに見舞われること請け合いです。

くれぐれも駆除されるなんて結末にはなりませぬよう・・・