手を繋ぐまでのステップアップ 『はじおつ。』 2巻

度胸試しの告白から始まった奇妙なお付き合い関係。
通学時に言葉を交わすだけで一向に進展が見られない中、
一緒に遊園地へ行くこととなってしまい・・・
互いに異性に対する抵抗を一切持ち合わせていない者同士、
付き合っていることすら怪しいほどの超スローな恋愛劇の本作。

2巻目にして先月に引き続き二ヶ月連続リリースとなる今回は、
波乱の遊園地デートを経て少しだけ関係が進展し、
二人がついに手を繋ぐに至るまでが描かれており、
攻めるところで攻めることができない様子がひたすらにもどかしくてなりません。
ベタベタ付き合ってラブがコメることだけが恋愛じゃないんですよ。
こういう奥ゆかしい日本人的な関係も中にはあってもいいじゃないか。
やきもきする気持ちすら恋愛プロセスとして楽しめれば甘露ですよ。

テンパり具合は表紙を見てもわかる通り。
1巻のときは赤面する表情だったことからも対比できていて、
確かに遊園地デートに手を繋ぐまでに至るまで、
終始テンパってますからね。
タイトル部分の縦線青ざめっぷりでおおよその内容は理解できるかと。
やっと一歩進んだ関係がこれからどんな方向へと転んでゆくのか、
生暖かい目で見守りたいですね。
ちなみに裏表紙の心理テストは「エロい」と答えた自分です。


肉体的接触は尻込みするも、心は着実に近付きつつあり。
向日葵さんは元来男性恐怖症だったりするものだから、
異性と二人っきりでデートだなんてそれこそ大冒険。

甲斐君が絶叫マシン苦手なのに乗り回し、
飲み物を買いに行けば迷子になり、
作ってきた弁当は作りすぎて大ボリューム、
挙句の果てに観覧車の乗り込みタイミングを誤って別々に乗ってしまう始末。
遊園地デートと言ったらトラブル発生するフラグも十二分に存在しますが、
ここまでgdgdなデートになるのも珍しい。
観覧車のくだりなんて前代未聞すぎてもうね。
同じゴンドラではないのは現在の二人の関係そのものとも言えるかも。
対面上は付き合っているとは言ってもどこか噛み合ってないところが多いし、
互いに互いをまだ理解できていないってこともあるし。
しかしこれが実にくるものがあるシチュエーションなんですね。
最初の距離が遠いからこそ近付くプロセスを楽しむことができるし、
いざ接近したときの悶絶具合も遥かに増強されるってものです。
手を繋いだときの破壊力といったらもうね。

心臓の鼓動バクバクの緊張感が伝わってきますよもう。
さて次の段階は一体なんでしょうねー。
キスとかには程遠いんだろうなー。


サポート役の友人面子の立ちどころもまた見所。
まず根本的に仕掛けた側と仕掛けられた側という、
立ち居地が男サイドと女サイドで異なるから、
ただ関係を進展させるアドバイスをするポジションでも
色々と違うものがあるんですよね。
このあたりは男連中の友情描写が本当に光るところです。
リア充爆発しろとか口では言っても普段から相談に乗ってくれてたり、
デート現場に同行して裏で見守ってくれてたりして、
一緒に行程を楽しんでいるような感じ。
女サイドの方は裏工作をしても直接現場に赴いたりはしないし、
どちらかと言うと結果を楽しんでいるような感じ。
当事者たち以外は面識が無い現在、
ラストにそれっぽいフラグが見られるあたりは、
今後直接絡んでくることになるようにも思えますね。
と言うか、告白が単なる度胸試しだったことが
今後確実に甲斐君にバレるようにしか思えない・・・
ある意味黒幕の柊子さんは色々言及されることになりそうだなぁ。
キャラ的に好きなんだけど。