国際百合交流サミット開幕 『きものなでしこ』 1巻

きものなでしこ 1 (IDコミックス 百合姫コミックス)

きものなでしこ 1 (IDコミックス 百合姫コミックス)

高校入学直後の委員会決めで実態の知れない「撫子衆」に決定してしまった少女・かの子。
そこは各国の留学生たちが集う名前以上に奇妙な集団だった・・・

百合姫発の期待の新鋭が殴り込んで来たのは群雄割拠の4コマ作品。
そうでなくても掲載誌的にかなり異色の構成ではありますが、
そこは4コマ専門誌としてぱれっとを構える一迅社ですから、
百合とか考えずとも普通に本作単体で楽しめる代物となっております。
同じタイプの作品としてはきらら系できんいろモザイクがありますが、
国際色と百合要素は本作の方が飛び抜けて高い感じですね。
帯書きではゆるゆりのなもり先生がコメントを寄せていますし、
これは近からずとも遠からずな将来、
ゆるゆりに次ぐ百合姫発のアニメ化作品とかならないかなーとか、
今から断然注目ですね。
後半は仲も進展することで確かに百合作品であると実感するときもあるけれども、
全体的に通して見ればガチ指数も低めで、
普通に日常系作品として楽しめるから敷居が低いのもいいですね。
時折混ぜ込まれる和の知識も程よくスパイスとなっていて、
やっぱり日本っていい国なんだなと改めて噛み締められます。

百合でも4コマでもゆる系・日常系でも、
あらゆる方面でのニーズに薦められる良作なのですよ。


異文化交流を通じて見る和の心。
基本は日常系の本作ではありますが、
実際に日本に住んでいても知り得ない知識が所々にあって、
意外と自分の国のことって知らないんだなーと思わされます。

和傘の使い方だの、巻末の色の名前だの、
和風総本舗を毎週見てるくらいでもなきゃ知りませんって。

そういう昔ながらの日本が垣間見える一方で、
外国人からの視点と日本人からの視点とで、
ギャップが感じられるところも良かったり。
生活に身近に密接しすぎてると意外と風情とか気付かないものですね。
と言うか、かの子さんの夏に対するイメージが現実的すぎて・・・

確かに夏休みの午前中は昔のアニメとか特撮の再放送見てたりしてたもんなー。
近代日本ってのはそういうものなのです。
むしろ日本人ですらいかにもな日本文化に逆に憧れたりするし。
本来なら「撫子衆」はそういう女子たちを育成するためのお手本のはずなのですが、
蓋を開けてみればかの子以外は全員外国人。
正しい知識と間違った知識とが交錯しながらも、
いまどきのゆるい雰囲気はしっかりと漂っているからたまらない。
こういうスローライフ感を心地よいと感じるのは日本人だからなのかな。
表向きには風紀委員だけど、全く取り締まってないのはご愛嬌です。


ゆるい雰囲気ながらも百合ってる、これもまた文字通りの「ゆるゆり」。
まぁ向こうよりは百合描写はかなり多かったりはするんですけどね。
それでもガチで引っ付いたりする濃厚なものとは違う、
友達の延長線のような感覚。
しかし回を増すごとに百合度は飛躍的に向上してゆくため、
最終的にはどのあたりまで進展するかは想像できません。

組み合わせも大別して二つあり、
かの子を中心としたサーヤとかごめ三角関係と、
アンジェリカと雀の両想い。
どっちの百合っプルもキャラも魅力的なのですが、
総じて見るとやっぱ日本人勢の二人が可愛いなーと。
かの子は黒髪おかっぱ姫カットで見たまんまの日本人形タイプで、
かごめは身長143cmのミニマムキャラにして弓道着のオプション付き。

文化的のみならずキャラ的にも日本人っていいね。
改めて自分が日本人でよかったと思えました。