壁一枚隔てた密室で繰り広げられる恋愛劇 『男子トイレで待ち合わせ』

使われていないフロアのトイレで休み時間に一人の時間を過ごす少女・阿波根さん。
ある日、隣の個室を利用していた少年・謝名堂君と鉢合わせてしまい・・・

普通ではない、かなり特殊なシチュエーションでの
ブコメ描写に定評のある水あさと氏がまたやってくれました。
しかも今回の舞台は学校のトイレというとんでもなく限定された場所。
当然のように紙が無いとかストレートなトイレネタが飛び出して、
とんでもなくダーティで匂ってきそうな空気が全体に溢れているのですが、
シチュエーションがこんなでもしっかりとラブコメしてることに恐れ入った。
本当にこんなネタ同人誌でもなきゃできませんよ・・・
逆を言うと同人誌だからこそここまではっちゃけられているんでしょうね。
あとは何と言っても本作のキーになっていると言っても過言ではないほど、
これでもかってくらいに多数登場して大活躍する「音姫」に尽きます。
実際にマーケットでアプリを検索しちゃったじゃないか。
同じ系統のやつがけっこう多数DL可能だったりしたし。
こういうさりげないところで時代の最先端をひた走っていることも含め、
トイレットラブ、斬新すぎる・・・


密室の中で顔も合わせず繰り広げられる恋愛劇。
シチュエーションがとにかく限定された空間であるために、
全体的にある種の緊張感のようなものが常に漂ってるんですよね。
どちらも用を足したものの紙が無くて行き詰ってしまったり、
バレンタインでチロルチョコを渡そうとして投げ込むも
案の定便器の中にストライクしてしまったり、
壁一枚隔てて直接顔を合わせることも少ないながらに進む関係。

これは女子が男子トイレに入り浸っているってものだけではないはず。
当初用を足す音を消すための本来の目的通りに使用されている「音姫」も、
気が付けば一つのコミュニケーション手段として成立していたり、
何でトイレでこんなにも話が広がるんだと驚かされるばかりです。
終盤の展開も場所が学校であることと、
密室であることを両方ともうまく活かした内容になっており、
ちょっぴり切なくもオチも付くラストに色んな意味で感動しました。
うん、ちょっと「音姫」アプリインストールしてくるわ。