自爆系女子、恋愛始めます 『ひとりみ葉月さんと。』 1巻

恋愛ごとには興味なし、自分の好きなように生きる葉月さん(25歳)、喪女。
現状を見かねたシスコンの妹に強制的に彼氏を宛がわれることになったが・・・
はつきあい」に「せなかぐらし」と、
ひたすらに破壊力の高いニヤラブを創出し続けるカザマアヤミ先生の送る新作は、
一話〜二話完結方式オムニバスだった「はつきあい」の世界観を踏襲しつつ、
一つの恋愛の形を徹底的に掘り下げた新たなる歳の差ラブコメとなっております。

歳の差恋愛って聞くと、最近は二桁以上年齢が離れた中年間近の男と、
小学生〜中学生くらいの少女との恋愛が語られる作品が多かったのですが、
本作は全く逆を行くお姉さん彼女な恋愛模様
既にニヤラブを描かせればトップクラスの威力を発揮することは
前身からして実証済みのため、こういうラブコメが好きな身としては、
最初から期待せざるを得ませんね。
最近は男の方が年上って作品を見る機会が多かったから何だか新鮮です。
歳の差があるとは言っても、それを感じさせない初々しさにニヤけることは必至。

葉月さんと幸丸の年齢差は8歳あるわけだけれども、
32歳となった自分からすれば40歳の相手と付き合うのと同じことなのかー。
十分ありだな。
と言うか、好きに年齢なんて関係ないですよね。
好き合うことができるなら、例えお婆ちゃん相手でも恋してみせる!
極端な話ね。
でも恋愛ってのはそういうものなんですよ。
決して幸丸を紹介される以前の色気よりも食い気に生きてるわけでは・・・


成人式を迎えたからって、心まで大人になりきれなくたっていいじゃないか。
25歳の女性キャラでラブコメと言ったら、
いわゆるお姉さんキャラを想像することでしょう。
が、本作の葉月さんはまるで子供のようなところばかりで、
それが年齢とのギャップを生み出してとにかく可愛い。
最初の趣味に興じている姿の時点からして惚れるわ。
この飾らない感じは見ているだけで人生満喫してるなって思いますもん。

喪女、喪男だから人生の負け組だなんて誰が言った!
自分が満足できる生き方ができるならそれで十分じゃないか!
種の保存は義務じゃないんですよ!
そんな葉月さんですから、唐突に付き合うことになった幸丸に対しても、
当初は意地を張りまくって一から十まで墓穴を掘りまくり。
恋愛経験無いなら無いって最初から言えばいいのに、
経験豊富なように振舞って後にも先にも退けなくなる。
普段は飯を食うのも定食屋なのにフランス料理フルコースに行っちゃうし、
かと思ったら遊園地デートで開幕から羽目を外しまくった挙句に、
逆ギレで経験ゼロなことをカミングアウト。

全てがやってもうたって行動ばっかりで、見ていて痛いと思う節もあります。
しかしその痛さが逆に可愛い。
初心者故のパニックぶりが見ていて飽きません。
表紙を開くなりカラーの中扉でも全力でパニクってますし。
段々恋愛感情を自覚するようになってきて、
ついに脳天ボルケーノでボムったときは、
クララが立った!と言わんばかりの勢いで跳ね回りたくなりましたわ。
ちょっとこんな素顔のままで付き合える彼女一人ください!
あとがきページの性転換したVerの幸丸でもいい!


初心者同士だから、更に心の距離が近くなる。
一つの歳の差恋愛の形が描かれる内容ではありますが、
本作の源流は「はつきあい」であることを忘れてはなりません。
即ち、メインテーマは「はじめての恋愛」なのですよ。
それ故の初々しさが半端ない。
しかも世界観が繋がっているときたもんだ。
思春期の少年少女たちのエピソードが中心だった中で、
唯一の成人同士の恋愛が描かれて異彩を放っていた市ヶ谷さんがまさかの登場です。

まさか葉月さんの同僚だったとは・・・
順調にお付き合いしているようでえがったえがった。
タイトルこそ違えど、確かに本作は「はつきあい」でした。
作中で妹が葉月さんたちの恋愛を元ネタに描いてるWeb漫画のタイトルにも使われてますしね。
こうなるといずれは葉月さんの妹の実也さんをヒロインにした
スピンオフエピソードなんかも出てくるのでしょうか。

姉に恋してるとか公言しちゃうほどのシスコンが、
自分自身の色恋を考えるようにさせてしまうほどの相手が登場したりとかで・・・
それはいずれ期待するとして、成り行き上で付き合うことになった二人が、
ちゃんとした告白を経て本当の意味で付き合い始めたラストからこそが本番。

果たしてラブラブっぷりにどれだけ悶絶させてくれるのでしょうか。
悶死してもいいようにページ数分だけの命を用意しとかないとなりませんね。