げに羨ましき三角関係 『おたくのトライアングル』

  • タイトル:おたくのトライアングル
  • サークル:すたひろBOX

両親の影響を受けてオタク趣味が根付いてしまった少年・ソウタ。
中学校への入学を機に脱オタを目指そうとするが・・・
表向きには幼馴染のオタ趣味持ち三人組による、
思春期を迎えた微妙な心情の変化を描くヒューマンドラマ。
しかしてその実態はおたくの娘さんアフターとも言える内容なのです。
一応「世界観が同じ」と言っているだけであって明言はされていませんが、
約10年後の話と考えて相違ないでしょうね。
あの人とあの人がどうなったとか、現在の彼岸荘事情とか、
原作の最後の最後で推測の域でしか図れなかった部分が、
色々と補完されているのが嬉しいところ。
叶と世莉緒が当時はA's時代までのなのはコスだったのが、
最後の集合写真ではStS版になってたりの成長も見られたりとか芸が細かい。

最終巻が出た直後にコミケがやって来ての本作ですから、
示し合わせたかのようなタイミングの良さに策士ぶりを感じずにはいられません。
ぁー原作あとがきでしょっちゅう見せていた超ドヤ顔が思い浮かぶ・・・


本作に至る経緯とも言える原作を知っていれば当然ながら、
そうでなくても単体で青春日記な内容を味わえるのが魅力。
ぃゃー実にいい中学生日記です。
オタとしては超英才教育の環境に育ってきたのに、
その趣味をやめるなんてとんでもない!
両親が漫画家、幼馴染に双子の姉妹、姉妹の父親も漫画家。
オタ的な意味でこれ以上勝ち組な環境揃ってないだろと。
まぁ変わりたいと思うのも思春期ならではですよね。
歳を取れば取るほど保守的になってきてしまうものだし。
ソウタのみならず、双子の方もそれぞれの思いがあり。

片や幼馴染以上の関係になりたいと積極的なアプローチをし、
片や今の関係が崩れることが怖くて不器用なアプローチをする。
大人へと背伸びする者と大人になることを望まない者。
際どいせめぎ合いをする時をもう一度経験してみたいものです。