遅咲きの花、只今満開中 『煩悩寺』 2巻
- 作者: 秋★枝
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2011/12/22
- メディア: コミック
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蓄積した好きな気持ちは告白まで発展し、
めでたく付き合うこととなった小山田君と小沢さんだが・・・
十の位も三が間近なアラサー世代による、
普通のようで決して普通ではない大人の恋愛劇。
今回はいよいよ付き合い始めた二人によって、
恋愛事情に年齢など関係ないことを悠然と語るかの如く、
終始バカップルのイチャラブ&ニヤラブが描かれることとなります。
こういう形の見ているだけで微笑ましくなる様子は、
既に三十路を超えている身からしても、
何事にも遅すぎることはないと希望のようなものすら持てますね。
現実、還暦超えてから結婚するなんて剛の者だっていることですし。
年齢だけでなく、その形もまったくの自由形。
本作のかなり異質な雰囲気漂う部屋も変だけど、
そこに集う人たちもやっぱり変な人ばかりだし、
人生も恋愛事も、結局楽しんだ者勝ちです。
例え何が起こっても楽しく過ごせそうなこの部屋。
遊びに・飲みに通って入り浸りたくなります。
そして二人のバカップル具合を眺めてニヤニヤするんだ。
子供心を忘れない遊び心溢れる空間は、素の自分を曝け出せる。
変なものが大量にある、何でもある。
下手に物色を始めてしまうと、それだけで一日が終わってしまう。
そして何かを引っ張り出してきては、使ってみて話のタネになる。
日頃の世間のしがらみから解放されたときのフリーダム感は、
何をやっていても楽しくなってしまうものです。
三十路にもなってくると、会社でも中堅どころとなり、
社会的立場も相応のものとなる中、
ぼちぼち子供の頃が懐かしくなって来る頃合。
メインの舞台となる「煩悩寺」は、そうした年代そのものなのかもしれませんね。
こんなもんばっか送り付けてくる小山田兄は本当に得体が知れませんな。
今回少しだけ兄貴本人が登場したけど、
変質者と勘違いした小沢さんに逃げられて速攻出番終了だったし。
大の大人が子供のようにはしゃいでしまう。
この部屋にはそんな魅力が詰まっているのです。
業務用にかき氷機を皮切りに屋台料理三昧の挙句に水着姿になってしまったり、
せっかくの夏をひたすらヘビ花火を消耗するだけのお仕事に費やしたり、
中華料理店によくある円卓で食事をしてみたり。
変だからこそ、逆に愛着が沸いてしまうもの。
一度は兄貴によって全て取り払われたシンプルな部屋になってしまうものの、
結局色々とリフォームして更に変な部屋にしてしまうあたり、
愛着なんてレベルじゃありませんね。
小山田君用PCの椅子なんてアーロンに超パワーアップしとるじゃないですか。
住めば都と言うけれど、都ってものは自分で作るものなのです。
しかし一角を完全に居酒屋にしてしまうあたり、
小沢さんカラーも随分と色濃く出てきましたね。
まぁ実質同棲してるようなものですし、
リフォーム中は本当に小沢さんの部屋で同棲してたし。
ニヤれるラブコメ、大人としての一線。
変な空間と変な連中の異色に負けないくらいのイチャラブ成分満載なのですよ。
開幕からして、部屋の前で今から〜とメールして同時に入って驚かせようとする、
片やその一歩先をいってマンションの前で待ち構えている。
ええ、いきなりこれだからたまりません。
かと思ったら付き合い始めて最初の共同作業がダッチワイフの撤去だったり、
「煩悩寺」と言う異質な空間らしさもしっかり持ってるもんだから、
何をやっても見ていて笑いとワクワク感が止まりません。
そんな中だからこそ、時折見せるラブ成分の強烈なこと。
買い物先で雨が降ったら一本だけ傘を買って相合傘、
キスをしてそのまま先へ・・・と思ったら咄嗟の嘘で回避、
仕事の出先から帰ってきたら合鍵で入ってきていて洗濯してくれている。
ひたすらに悶絶できるシチュエーションの数々にほっこりできますなー。
もう完全に嫁じゃん!
しかし付き合い始めでも初々しさと言うよりは、
大人の余裕ってものがどことなく感じられます。
(結婚適齢期的には余裕なんて無いかもしれませんが)
学園もののラブコメだと合鍵&洗濯なんてレアもいいところですしね。
こうして見てみると、改めて同棲同然の生活なんだなーと。
そして大人の恋愛としての真骨頂を迎えることとなり・・・
とある出来事を発端として、自分の部屋に泊まりに来るように誘う小沢さん。
既に恋人以上の関係になりつつある中でのこの誘いですから、
この時点からして全力でフラグが立ちまくってますね。
荒波を越えて帰ってきた豊漁旗のように力強くたなびいてますよ。
案の定、その日の夜、二人はベッドの上で・・・
ぁーぅー、こいつぁーとんでもねぇー鼻血もんでさぁーねぇー。
まさか濡れ場のシーンまでしっかりと描かれるなんて思いもしませんでした。
異質な空間で繰り広げられる恋愛劇なのに、こういうところは妙に現実的。
だからこそ色々と感じるものがあるのかなー。
ここまで来たら次は結婚しかありえませんね。