ジュラルミン、死す!? 『よつばと!』 11巻

よつばと! 11 (電撃コミックス)

よつばと! 11 (電撃コミックス)

いつもと変わらぬ何てことのない一日。
とびっきりの出会いを求めてよつばは今日も往く・・・
休載も多い関係上、年刊が通例になってきた本作ですが、
ちょうど1年ぶりに最新巻が登場となりました。
あれよあれよと言う間に8周年。
気が付けばあっという間に10周年を迎えてしまいそうな勢いがありますね。
本作にそういった感覚を抱くのは、
やはり普段の日常ってものに非常に則しているため、
身近すぎて逆に気が付かないからだと思うんだ。
全てに対してはじめて尽くしで毎回が新鮮に思える展開。
この何が出てくるかわからないワクワク感は、
紛れもなく一人一人の子供時代そのものなんだろうなと。
未来永劫不変不動のものなんてそうそう有り得ないものだけど、
特有の空気を持っているノリと、よつばの純粋さは、
いつまで経っても変わらないでいて欲しいものですね。


実経験のあるエピソードもあると親近感も半端ない。
宅配ピザでテンション上がったり、

専用のカメラを手に入れてとにかく撮影しまくってみたり、
犬を怖いと思ってみたりって身に覚えがありすぎですよ。

全員が全員そうじゃないけど、同じ思いをした人は必ずいる。
同じ経験にしても、自分が子供だった頃との違いで懐かしみ、
昔を思い出すと同時に今を知る。
今のご時世、電話じゃなくてネット上からピザの注文ができるなんてはじめて知ったわ。
自分の知らない間に世の中って変わってくものなんですね。
この絶妙なラインはのめり込めますよ。
ピザじゃなくてカレーだったけど、
食いすぎで吐いたって経験も確かにあるし、
ぬいぐるみじゃなくて水鉄砲だったけど、
犬におもちゃを噛まれて犬が怖くなったことだってある。

自分は栗拾いの経験はないけれど、
イガが手に刺さって痛い思いをしたって人もいることでしょう。
見れば見るほど何この自分!?って思ってきてしまうんですよ。
気が付けば自分自身がよつばになっているかのような感覚さえ覚えます。
読んでいるうちにここまでシンクロできることって、
ある種の奇跡に近いものがあると思うんだ。


周囲を取り巻く人間もやはりいい味出してます。
開幕に出てくるうどん屋の親父が渋くていきなりくるものがあったわ。
寡黙な職人気質、でも間近で見て絡んでくるよつばのことを邪険にしたりもしない。
よつばも積極的に話しかける一方で、
うどん打ちの作業を食い入るように見つめて黙りこくってしまったりもする。
この静と動の『間』ってのがすごいんですよ。

終始喋るマシンガンなんてそうそういるもんじゃなし、
何気ないコマ間のやり取りには確かにリアルが感じられます。
対する風香は今回は残念な人っぷりが出番少ない分印象深い。
Q:栗拾いに大切なものは?
A:愛

をぃ!
これは10人中10人が絶対ツッコむだろ!
実際に栗拾いに行ったら行ったで、
よつばが手にイガが刺さったその横で自分も刺さってるし。
ジュラルミンが壊れたときだって、励ますどころか逆にドン引きされる。
数少ないボケ担当、これからも天然の残念な人のままでいてください。
しかし本作も長いですから、キャラに対する印象も変わってくるなー。
以前だったら恵那可愛いって言ってたところなんだけど、
歳を取る度に年々あさぎさんがいい女に見えてくるようになってきました。

壊れたジュラルミンを修理しちゃうとかマジで惚れるわー。