百合ップルの極甘同棲ライフ 『ふ〜ふ』 1巻

ふ~ふ 1 (IDコミックス 百合姫コミックス)

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晴れて二人っきりの同棲生活を開始した喜菜々と寿美。
ラブラブながらもドタバタ続きの日々が幕を開き・・・

非常にテンション高く、キレのいいギャグに定評のある源氏の初単行本なだけあって、
百合姫のCMでタイトルが出た時点から心待ちにしていた本作。
最初から最後まで、おはようからおやすみまで、ゆりかごから墓場まで
とにかく頭のてっぺんから足の先っちょまで百合百合しいラブラブオーラ全開で、
読むスイーツと言ってもいいくらいの激甘っぷりに終始悶絶ものですよ。

いちゃついている中にも、氏の作品らしくコメディ描写も多分に含まれており、
日常ものとしてのドタバタっぷりも程よくアクセントが利いていることで、
次に何が飛び出すか楽しみなおもちゃ箱のようなワクワク感もありますね。
加えて途中からは喜菜々と寿美以外の百合ップルが参戦したりして、
テンションは右肩上がりで上昇し続けるのと同時に、
それぞれが違ったラブラブっぷりの形を見せてくれるのもいいですね。
作中で三組出てくる百合ップルは全員ボケ側が方言訛りの喋りだったりもするし、
さすが好きな要素を詰め込んだと言うだけあって、
悉くがツボりまくるから困ります。
いいぞもっとやれ。


それぞれタイプの異なる百合ップル
お好みは一体誰?と言わんばかりの個性に満ち溢れていて、
全員が全員魅力的すぎて誰を選べなんて言われても選べませんね。
天然ボケの喜菜々とムッツリデレの寿美もいい。
マイペースボケのはやせとちびっ子ツンデレの小麦もいい。
女スケコマシの嘉菜々とクーデレの白雪もいい。

オーソドックスな百合もあれば、どつき漫才な百合もあり、
一歩距離を置いた複雑ながらもしっかりと繋がっている百合もあり。
見た目も性格も全く違うし、各々の付き合うスタンスも全く違うタイプだけど、
どもカップルも甘々なんですよこれが。
言うなれば、メープルシロップがたっぷりのケーキの上に、
更に練乳をこれでもかってくらいかけたような感じです。

喜菜々の猫耳とかも破壊力高いですからねー。

作中では『つらくなった人は』ってあるけど、
これは引いたって意味でつらいのではなくて、
悶絶しすぎて悶死しそうなくらいな自分の生命が危険って意味でつらいです。
関西系の訛りが入った喋りも妙にツボるんですよねこれが。
キャライメージ的にすごくマッチしてるってのもあるんですが、
やっぱり方言訛りっていいですよね。
方言彼女なんて番組もあったし、一つのジャンルとして確立しつつありますよこれは。
全力でいきすぎると何を言ってるのかわからなくなったりもする諸刃の剣だけど、
だがそれがいい


百合ップルで同棲して夫婦ならぬ婦婦関係ってこともあって、
終始ラブラブな様子をただ観賞するのみの展開がメインではあるけれども、
随所でキャラがデフォルメ化されたり、何かとコメディ描写も多く、
二重の意味で笑顔になれる仕様となっているのがたまりません。
特にはやせ&小麦ペアは体当たり的なツッコミが激しい分、
非常によく動いて目立ってます。

愛あるツッコミっていいよねー。
やられる側もそれがわかってるから全力でボケて受け止めてって関係が成り立ってるわけですし。
右ストレートにスーパー頭突きときたら、今度はドロップキックあたりが来そうです。
本編はあくまでコメディの領域に留まっている分、
各エピソード間のおまけの1コマはギャグ色も強いですからね。
元々そういう描写を得意とする氏の色が随所に垣間見えます。
こういう描写があるからこそ、甘々な展開ながらも、
甘ったるさを感じずにすっきりと楽しめるんですよね。
ガチな百合も読みたいけど、できるだけソフトな方がいい、
ワイルドローズ的なものはちょっと怖い、
そういう人にはもってこいではなかろうかと。


本編とは別に、また違った百合ップルのエピソードも収録されているのですが、
こちらもまた悶えてダウンした身に追い討ちをかけるに十分な破壊力を持っています。
ロリな先輩・ひよりとクールに見えて口下手だから心で悶々としている後輩・みやちゃんと言う、
実際の年齢イメージと逆転した組み合わせってのもなかなかにくるものがありますよね。

オーソドックスなお姉様関係もいいんだけれども、
こういう関係もまた一つの王道とも言えるかも。
ひよりの人懐っこい笑顔もいいんですが、みやちゃんのリアクションがたまらない。
妄想の域に達した思案の数々で悶絶してる姿を見て、こちらも悶絶してしまうと言うもの。
一見何も考えてなさそうな人ほど実際は色々と考えてるって好例ですね。