食と喰の決定的な違いを教えてやる! 『てんむす』 2巻

てんむす 2 (少年チャンピオン・コミックス)

てんむす 2 (少年チャンピオン・コミックス)

初の大食い競技へ出場し、華々しくデビューを飾った天子。
かくして食い道部の活動が本格的に開始されるのだが・・・
かつての大食いブーム時に何故か見入ってしまっていたあの頃。
食べることの奥深さとテレビで見ていたときの疑問を理論的な解説と共に解消し、
流行りの女子高生部活動ものと意外な熱さとを踏まえ、
新境地を切り開いた本作に早くも2巻目が登場。

競技である以上は自分で好きなものを選択する権利がない故の不利、
長時間食べ続けるための基礎、九士郎と部長の意外な過去、
そして地区大会の開始。
今回も実に盛りだくさんの内容で、大食い競技の奥深さを改めて教えてもらった次第です。
天子の家が神社だったのも何気にびっくりでした。


食べるだけが活動ではない、大食いとはスポーツである。
『競技』である以上は日頃の修練が必要であることは自明の理ですが、
意外と体育会系なこともやってたりするんですね。

確かに食いすぎて苦しくなったりすると、
身体も重くなるし、息も絶え絶えになって疲労さえも蓄積されるものだけど、
だからこその体力トレーニングってものもきっちりやってるんですね。
よく部活帰りの学生が帰りに寄り道したときの食欲を考えると何となく納得できるかも。
ああいう学生って帰ってからも普通に晩飯とか食ってそうですし。
勿論食べることそのものを持続させるための基礎体力作りって意味も兼ねますし、
新陳代謝を高めて競技を執り行うために理想的な身体を作るって意味もある。
ぅーむ・・・こういうのを見せられてしまうと、
如何にもな中年体型となってきた自分も運動しないとなぁ・・・と思ってしまいます。
実際、それを行動に移せる人とそうでない人との差が、
こうした競技の強さとしても現れてくるんでしょうね。


苦手料理の克服も練習の一環としての必須事項。
好き嫌いが無くて何でも食べられる人ならそれほど問題でもないのかもしれないけど、
やっぱりテーマ食材として出てきたものが嫌いだから食べられないってのは、
こういう競技をやる上では致命的ですからね。
苦手だけど克服するためには食べなければならない、
何度も繰り返し挑んで慣れてゆかなければならない。
決して好きなものが出てくるとは限らないってのはなかなかにハードなものですよ。
本当に苦手なものって、口に入れた瞬間から吐き気がするようなものだってあるし・・・
だからこそ必死で奮闘してる二子さんが可愛かった。

ひたむきに頑張る女の子ってのは、例えそれがどんなに無様でも輝いて見えるものなんです。


大食いは、一人の男の物の見方を根本的から覆した。
部長と九士郎がはじめて出会ったときの回想も今回描かれているのですが、
当時の九士郎が別人すぎて笑ったわ。

医者の息子で金持ちで極め付けに鬼太郎ヘアと、
いかにもな要素をトリプルコンボで兼ね備えている割には、
意外と色物系なキャラしてるなーとは思ってはいましたが・・・
一人称からしてオレ様だし、本当に当初がいかにもなキャラすぎです。
九士郎の変わりっぷりに対して、当時からぶれてないのが部長。
ぃゃ、確かに変わってるところもあるか。
あらあらうふふな感じなのは相変わらずなんだけど、
部員集めに奔走している姿はこれまでにないひたむきさが垣間見えました。
しかしデモンストレーションで天丼5杯を30分で完食するとか半端ない。

何となく数だけ聞くとそれほどでもなさそうに思えるんだけど、
想像以上に丼ものってヘビーですからね。
豚野郎(店名)の大豚丼とか、すた丼の増し増しレベルだったら、
間違いなく2杯で限界迎えるし、その時点で30分経過してるわ・・・


似て非なるもの、『食』と『喰』。
体力的な要素も大食いには必要ってことはわかりましたが、
意外と精神論的なものもあったりするんですね。
普段全く意識してなかったけど、漢字の意味からしてこんなにも違うものだとは思わなんだ。

ぃゃ、まぁ大会一回戦の相手がいかにもな連中なもんだから、
確かにこいつらの見た目からして『喰』の字が似合いそうってのはありますけど・・・
これまでは全然意識してなかったけど、
ちょっとこれからはこういう文字の違いってのも考えてみようかな。