不健全だからこそ何者よりも健全な心 『私のおウチはHON屋さん』 3巻

私のおウチはHON屋さん(3) (ガンガンコミックスJOKER)

私のおウチはHON屋さん(3) (ガンガンコミックスJOKER)

自分を等身大POPにする奇策が功を奏し、エロ本情報誌表紙モデルにされてしまったみゆちゃん。
今日もプライドと世間体の狭間に揺れ動く日々で・・・
不健全なエロ本屋を舞台としながらも、
人間模様やひたむきな姿は超健全であるギャップと、
何よりもみゆちゃんの可愛らしさがたまらない本作も3巻目。
今回は父親の子供時代の意外な過去が明らかになるちょっと不思議な話あり、
客同士の喧嘩仲裁に尽力する話あり、新キャラ登場で偏見と正面から向き合う話あり。
本作開始前の読み切りで、常連客の一人である宮国を主人公とした番外編も収録し、
ブコメ分も補充できる贅沢な仕様となっております。
エロ本屋と言ってもエロ成分は皆無だし、
今回も純粋にヒューマンドラマとして楽しめる本作です。
とは言っても、基本はコメディなので、エロ本屋ならではのギャグは満載。
あまりにも馬鹿すぎる中沢書店のテーマソングは笑ったわ。


エロ本界に舞い降りた天使、それがみゆちゃん。
これまでは店員として様々な取り組みに挑戦したりすることが多かったけれど、
今回はむしろ一人の人間として、実家の仕事を手伝う者として、
大きく成長してある意味大人よりも大人らしい一面を見せることがメインですね。
趣味の差異によって解散危機に瀕した音楽グループに対しては
互いの好みを理解して歩み寄るように進言したりしてるし、
他人の喧嘩なんてスルーすることが珍しくもない世の中において、
何て出来た子なんでしょうか。
説得するのもエロ本ありきで、お薦めを聞かれると反射的に紹介してしまう。

トラブルの種はいつも尽きることはないけれど、
常に全力で取り組み、何かと達観した節もあるみゆちゃんやっぱ最高だわ。
一方で幼少の頃のエロ大王っぷりもまた凄まじい。
積み木で家ならぬラブホ『ズッコンバッコン』を作ったり、
おっぱいの絵を描いてその上にケーキを乗せた擬似女体盛りをしたり、
ぬいぐるみとシックスナインの体勢で寝てみたり・・・

みゆちゃん、恐ろしい娘っ!


本作の題材が題材だけに、決して避けては通れぬ道。
いずれは出てこざるを得ない題材の一つ、それが偏見。
新任の先生がいわゆる『えっちなのはいけないと思います』な人で、

とにかくエロ=人類の敵ってくらい毛嫌いしていて、
だからこそ中沢書店の噂を聞いたときの偏見ぶりが・・・

何でエロとか二次元ってこうも悪の根源的なイメージにばかり取られちゃうんでしょうかね。
誰だって少なからず興味を持って触れたことだってあるだろうし、
現実と非現実の区別くらい付きますって。
これに対するみゆちゃんの反応がまた色々とすごい。

エロ本屋業を営んでいることへのプライドと、
客の一人一人をちゃんと人間として見ているからこその親近感、
両方を兼ね備えているからこそできる反論ですよ。
自分はどう言われてもいい、でも知りもしない人のことまで悪く言うな。
格好よすぎるぜ!
どちらかと言うと自分も自身は変態だ童貞だ言われても事実だしどうとも思わない反面、
二次元メディアの業界そのものを否定されたら激昂するタチだけど、
同じ状況に立たされたら感情的になってこんな切り替えしはできないです。
まぁ、当の先生自身、26歳ながら身体はみゆちゃんよりも小さかったり、
元ヌードモデルでエロ嫌いなのもそんな自身を否定された過去に起因してたりするんですけどね。


番外編も番外編でまた一味違うお話。
主人公はまさかの宮国だし、おっぱい好きなりにリア充してるし。
マイペースな性格ながら主人のために尽くすロリ忍者娘なんて最高じゃないか。

何度か本編にも存在はほのめかせているけれど、
本格的に登場したりはしないのかな。