お嬢様、危なげありにも成長中 『ジゼル・アラン』 2巻

ジゼル・アラン(2)

ジゼル・アラン(2)

危なっかしいながらも賃貸アパートの管理人兼何でも屋を営むお嬢様・ジゼル。
そんな彼女の下に一人の老人が来訪するが・・・
去年初出の作品の中ではトップクラスで好きな作品だっただけに、
今回の第2巻はまさに待望でした。
掲載誌が隔月刊のFellows!ですから、実に長かった。
執事のモネさん来訪による爺様のターンから始まり、
屋敷を飛び出して現在の生活をするに至ったエピソードもあり、
同業者の登場ありと今回も実に波瀾の連続。

まだ見ていて危なっかしいところは多々あるものの、
確実に何でも屋として、人間として成長してゆく様子が見て取れるので、
危ないながらも温かい目で見守りたくなりますね。


その好奇心の前には、屋敷はあまりにも狭すぎた。
今回はジゼルがまだ屋敷に暮らしていた頃の話も描かれており、
家を飛び出して現在に至る経緯がわかったりするのですが、
なるほど何にでも興味ありありな気質は全く変わりありませんでした。
お転婆ぶりは勉強よりも本を読んでいたいからと洋服ダンスへと隠れ、
見つけた天井裏を秘密基地にしてしまうほど。

年頃の子供にとって、自分だけのプライベート空間の存在や、
日常とは異なる非日常的な場所ってものはいつどこだって浪漫に溢れているのです。
当時からこんなですから、そりゃ屋敷の中に縛り付けておくなんて世界があまりにも狭い。
外に出た今だからこそ本領発揮しまくってるわけですね。
本領と言うか、エリックを散々巻き込んで引っ張りまわしているとも言いますか。
むしろこんなお嬢様に引っ張りまわされるのはご褒美ですよね?

とある一件では強姦されかけを狂言したりもしているけれど、
そこは本当に本番まで・・・


ジゼルは当然のことながら、地味に男キャラ達が色々と活躍してます。
特に最初に出てきた執事のモネさんとジゼルと同じ何でも屋のギー、
ある意味今回のストーリー進行上の中核を担っていたのがこの二人でした。
モネさん、忠実な執事ってだけじゃなくて、教育係も兼任してたんじゃなかろうか。
ジゼルが何一つ反論できないとは・・・

とは言えども、やはり執事としての愛を感じるんですよね。
彼なりに心配だったからこその来訪だったのだろうし。
でもなきゃ仕事放り出して飛んでこないですよ。
常時無表情の仏頂面だから何を考えてるのか読みづらいところはあるにせよ、
終始ダンディなおじさまでした。


一方で、ギーは何でも屋としてジゼルに大きな影響を与えることとなり。
根本的に『何でも屋』と言うものに対する意識が違うんですよね。
今までジゼルがやってきたことはどちらかと言うとお手伝いの延長線に近いものがあるのだけれど、
ギーは本当に『何でも』やってます。

老人介護をやったかと思えば、脅迫も辞さない交渉ごともする。
恋人代行で依頼人の元男に殴られる憎まれ役すら買って出る。
無茶苦茶泥臭いですね。
泥臭いけど、プロだわこいつ。
自分もこのあたりの仕事についての認識が甘かった。
何でもやるってのはそういうことなんですね。
モネさんもギーも、プロ意識があって格好よかったです。
二人ともコレットさんには思いっきり嫌われてましたがね。


そしてエリックはと言うと・・・
助手同然の状態でずっと手伝っているうちにってことがあると思ったらそんなことはなかった。
滞納分の家賃がチャラになった瞬間逃亡しやがった!

ぅゎーいい笑顔ー。
いわゆる草食男子がフラグブレイクぶちかますとは、
ある意味リアルっちゃリアルなのかな。
フラグってものはこんな風にして気付かぬうちにへし折られるものなのです。
助手の仕事からは逃亡したけれど、裏では夢を追い続けるドリーマーとして進行中。
そう言えばしょっちゅう引っ張りまわされてばっかりで、
普段何をやってるのかは全然不明なままでしたね。
今回最後に判明しますが、一応物書きを目指していたようです。

この流れだと次の依頼者はエリックですかね?
しかし、投稿してた作品が通ったのってまだ一次選考だけみたいだし、
結局は残念でしたって結果になって助手生活に逆戻りしそうな予感。