ギャルゲ的展開に隠されたプロの技術!? 『まんがのCOCOはキケンなつぼみ!』 1巻
まんがのCOCOはキケンなつぼみ! ? (フレックスコミックス)
- 作者: 徳冨数志,長谷川裕一(原作)
- 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
- 発売日: 2011/05/12
- メディア: コミック
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元アマレス少女と落ちモノヒロイン的な出会いを果たす。
一方で、漫画界の現状を憂う某社が次世代の才能を発掘すべく
一大プロジェクトを立ち上げていて・・・
毎月何かしらの形で見ている感さえ漂う漫画を描く側を描いた漫画。
今や群雄割拠とも言えるほど増えてきた本テーマの作品群に、
長谷川祐一氏原作による独特の世界観で切り込んだ本作。
開幕かららしいなーと思うぶっ飛んだノリで始まる感じにしても、
単純に漫画を描くだけではない、一味違う展開にしても、
かなり独特の色ってものを持ってますね。
単純に描くためのノウハウを語っているわけでもない、
業界のメタ的なネタを暴露しているわけでもない。
そこにあるのはもっと違う次元の、
長年漫画を生業としてきたからこその視点の本当のプロの発想。
描く側にしても読む側にしても、今までと違った見方ができるようになるかも?
ちなみに、本作の表紙、同日発売されたマップスネクストシート12巻と何気にシンメトリー構造になってる?
漫画界の新時代を担う才能として発掘されるは、非常に高く険しき山。
COMIC COSHIEN、略して『COCO』と銘打たれたこの大会。
普通の出版社で行われている各種賞のようなものとも全く違う、
総合的な資質を問うものでした。
漫画の大会なんて言ったら、各自作品を投稿して、
審査員が読んで評価してって流れが当たり前のものです。
が、本作の場合、与えられた課題に沿って回答をする、
そこまではごく当たり前のものだと思っていたら、
当の回答がこちらの予想が全く及ばぬ内容でした。
まさか提示されたシチュエーションを『コマ割り』だけで表現しろとは・・・
ヤバい、何かもう作家としての資質そのものを問うてるわ。
センスはともかく、どういう意味で勇気を見ようとしていたのかは疑問だけど。
コマ割りに関しては、●●の作者は大ゴマばかり使って大味だとか、
そういう印象を持ったりすることはあるにせよ、
実はコマ割りにもセオリーがあるなんて考えたこともなかった。
それに対して限界まで悩んだ挙句に巧が出した答えが・・・
うん、当初ただの漫研を題材にした萌え系だとか
それくらいにしか考えてなかった認識を改めざるを得ない。
出題側と回答側の真剣勝負とも言える課題を巡る展開がすごく熱いです。
描く連中も、そうでない連中も、揃いも揃って曲者揃い。
漫画に対するテーマ性と本気っぷりは凄まじいものがあるのですが、
本作に登場する人物はテーマの重厚さにも負けないくらいの変人ばかり。
総じて見るとガチオタの巧が一番まともに見えてきてしまうくらいですからねぇ・・・
メインヒロインとなるつぼみはアスリート一家の出身で元々アマレスの実力者。
レスリングをかなぐり捨てて挑むのが知識も全くない漫画ってぇんですから、
前向きと言うのかアグレッシヴさが鉄砲玉と言うか。
しかも画力は『画伯』レベルときたもんです。
それだけでも十分濃いのに実は巧と家が隣同士で窓伝いに部屋に入ってくるとか、
何この生きるラブコメ設定の体現者は!?
ヒロインからしてこれですから、他の漫研メンバーなんてもっと凄まじい。
浮世絵タッチでフランス革命を描く日本美人に始まり、
全ては賞金目当ての貧乏娘に、ヤンキー腐女子。
顧問に至っては部室で酒(般若湯と言うべきか?)を飲んでる生臭坊主。
濃いわー、まともなのが一人もいないわー。
そして濃いを通り越して危険なのが大会で審査員を務める
伝説とまで呼ばれた漫画家・不出織人(でずにおると)。
一応作中では鶴の恩返しをイメージした的な風に語られているけれど、
その名前はむしろどう考えてもウォルト・ディズニー・・・
著作権は大丈夫か!?