帰れぬ地上、サーバに眠るは数多のデータ 『スズログ-suzuro's logfile-』 1巻

スズログ 01 (電撃コミックス)

スズログ 01 (電撃コミックス)

小惑星の衝突がもたらした災害によって地表は壊滅し、
無数の宇宙塵によって帰還することも叶わなくなった2097年の地球。

それから70年後、地上のサーバからデータのサルベージを行う少女・鈴絽が、
死の危険と隣り合わせの仕事に挑むのだが・・・
この7月からアニメも始まる猫神やおよろずFLIPFLOPsが送る、
ヴァーチャルSFストーリーここに開幕です。
掲載誌が季刊誌だった電撃ジェネシスと言うこともあり、
単行本化まで時間がかかりましたが待った甲斐があったというものです。
現実的に起こりえないとも言い切れない小惑星衝突に終わり始まった世界は、
妙なリアルさを持っていてデータを発掘する行為と非常にマッチしています。
サルベージと言うと海洋的なものを連想されますが、
本作の舞台は海ではなくて宇宙と電子の海、
探るは沈没船ではなくてサーバ上のデータ。
遺物を引き上げることに浪漫を感じるのは海でも宇宙でも同じですね。
電脳浪漫あり、ときにはバトルもあり。

どこかで見たような感覚もある、けれどもどこかが新しい。
可愛い女の子の活躍するSF、あとは言わずともわかるよな?
最早これはある種の魔法です。


最高機密のセキュリティが張り巡らされたサーバのデータ発掘は危険がいっぱい。
モニターを見つつ流れるメッセージとにらめっこするような地味な内容ではなく、
サーバ上に形成された仮想現実へアクセスすると言うのがまさにSF。
となれば、セキュリティのシステムは、
さながら遺跡のガーディアンのごとく襲い掛かってくるわけで・・・

バトル要素をバトル要素として盛り込むためによく考えられてるなーと。
サーバ上だけではなく、現実世界ではそれ以上の危険要素に満ち溢れ。
それは時には反政府組織が違法に復元した兵器であったり、宇宙塵そのものであったり。

衛星軌道上が宇宙塵に覆われてしまったと言う設定がここでも生きてくるんですよね。
外部アクセスでサーバにログインしなければならない状況を作り出すのと同時に、
その作業をすること自体の障害にもなっているとは・・・
このように色々と細かな設定や用語も多いので多少難解なところはありますが、
各話間に挿入されている設定解説によって、
如何に綿密に検討した上で構成された世界観であるかがよくわかります。
未だ眠れるかつての機密データや統一政府、世界の裏で暗躍する者たちと、
非常に謎も多いので今後の展開が楽しみです。
何にせよ、最大のキーは災害以前は軍隊に所属していた元中尉のツムギが握ってそうですね。
サイボーグ化しているのは伊達じゃない筈。


その世界観だけでも十分に引き込まれるものはありますが、
やはり主人公・鈴絽の存在なくして本作は語れません。
表紙も飾っている、ダイブ時のコスチュームが非常に際どくてですね。

いかにもSFチックな感じを漂わせ、それと同時に、
幼さ残る体型の14歳中学生がこんなにもセクシーに見えてしまうとは・・・
SF衣装、恐るべし。
ダイブ時はこんなだけれども、他の衣装も何気にバリエーション多く。
学校の制服もあればカスタム的な和服もあり。
そして何よりも下着姿まで。

嗚呼この発育中って感じがたまらない。
何も服装だけが魅力なわけではなく、そのキャラ性があってこそのコスチューム。
当初は歳のわりに大人びたクールな印象を受けたかと思えば、
歳相応の笑顔も見せてくれるし、

危険に挑む身であるからこその覚悟や熱さを見せてくれたりも。

中学生くらいの年齢って最も多感な時期ですから、
それに見合った様々な表情は見ていて飽きませんね。