新感覚僵尸的活劇開幕 『ネクログ』 1巻

ネクログ(1) (アフタヌーンKC)

ネクログ(1) (アフタヌーンKC)

本業で新聞などの記事を書くライター業を営む青年・宋。
道士・胡によってキョンシーと化した幼馴染の姉を復活させる、
その一心で胡に弟子入りをするのだが・・・

田舎町を舞台に地方民話と伝承を踏まえつつ、
様々な妖怪と遭遇する姉妹の姿を描いた『もっけ』から約2年。
熊倉隆敏氏の新作は舞台を日本から中国へと移し、
80年世代には懐かしいキョンシーと仙術を話の主軸とした近代ファンタジーでした。
歩いたり走ったりするゾンビと違って両手を前に構えたポーズで跳ねる姿や、
お札で使役する描写、ベビーキョンシーの存在等で、
ホラーのみならずコメディーとしても一世を風靡しましたからね。
(中にはアフリカに行って活躍する映画もありましたっけ)
一番最初の霊幻道士シリーズが最初に公開されたのが今から既に20年以上前ですよ。
幽幻道士2のラストでスイカ頭が自爆したシーンは当時衝撃的だったなぁ。
と、当時の思い出もそこそこに、
仙術を用いて使役することや、制御を外れると途端に凶暴化して人を襲い出したりと、
見た目は普通の人と変わらないながらも確かに人外の存在であることを感じさせますね。
さすがに服とかはチャイナ服とか着てますし、
跳ねたりしないで普通に歩いたりとかしているので、
いかにもな固定イメージとは異なる新たなキョンシー像ってものも垣間見えます。


人ならざるモノを題材にしているところはもっけと同じではあるけれど、
現代日本を舞台としていた前作ではできなかった様々な描写は、
色々と挑戦しているなと思えます。
何と言ってもアクション描写と部分的にエグい表現。
一度暴れ出せば人の首がポンポン飛ぶこと飛ぶこと。
本当の『化け物』と対峙した時の人間の命って軽いなぁ。

死体だから平気ではあるけれど、キョンシーな姐さんの首すら飛びます。
身体の一部が落ちたり外れたりってのはゾンビヒロインものとしてはお決まりだけど、
こういう作品で出てくるとなかなかに笑えない。

思わずゑ"!?ってなっちゃいましたよ。
どれだけ暴れても通常の使役状態に戻れば血だまりの中で笑顔ですし・・・
戦うのは姐さんだけと言うわけではなく、道士の胡もチート臭い強さを誇ってます。
そもそも死体を使役している時点からしてまさに『禁術』。

変身したりワープしたり、結果的に人を喰ったりと色んな意味で最強すぎる。
マスターは使役するモノ以上の能力を有しているからこそマスター足り得るわけですか。
多少のお色気描写があるところも見逃せません。
戦ってるときに服が破れておっぱゐが乳首トーン付きでポロリですよ。
戦闘時におけるさりげない色気もあるけれど、
思い切り露骨な表現があることにびっくり。
『蛇』に身体を操られた宋が未亡人相手に強姦未遂ときましたよ。

これからももっとハードにこれらの表現を展開してほしいところです。


それぞれがそれぞれの目的のために動き、その真意は全ては読み取れず。
宋の場合は反魂の術を会得して、
姐さんをキョンシーの状態から蘇生させるって大義名分がある反面、

胡の行動には何かと謎が多いところです。
どうやら胡もまた此の世の者為らざる存在のようですが・・・
今回の終盤で冥府の最高クラスと繋がりがあって、
互いの損得が一致した上での契約の下に動いているらしいことは判明するものの、
それで不明な謎ってものがあります。
最後に胡のことを狗風情と見下し監視している男は何者なのかってのもありますが
(監視が付いてるって発言があったところを見ると冥府の役人?)、
最大の焦点になりそうなのが終始取り外すことに執着している首輪とは一体何なのか。

何らかのリミッター的な役割をしてそうなそれを何故、誰に付けられたのか。
ただ首輪が外れてよかったねで終わるってことはなさそうですね。