狂気に彩られた殺人舞台の開演 『断裁分離のクライムエッジ』 3巻

合同オリエンテーリング中に祝の命を狙っていた権利者である、
高等部の生徒会長・副会長コンビに追い込まれた窮地から脱し、
反撃開始となるのだが・・・
殺人鬼を祖先に持つ若者たちのバトルと言う、
いわゆる中二的な設定をサスペンス的な味付けを施したことにより、
独特の世界観を作り出している本作。
3巻目となる今回は、『愛玩屠殺』との決着と、
醜聞のパーティーで繰り広げられることとなる戦いとその頂点の存在が中心。
女王と魔女の因果関係など、ただ守るために戦うと言うだけではない、
そもそもの根本から話が複雑化してきました。
ダークな話に華を添える女性陣は可愛く、そして美しく。
バトルの中に見られる恋愛感情への目覚めなど、
ストーリーや戦い以外の面でも見所満載ですね。
うん、祝ちゃんはやっぱロリ可愛いわ。


殺人遺品に秘められた効果がまた一つ明らかに。
元々遺品そのものを使用していた殺人鬼の特性に応じた、
様々な特殊能力があることはわかっていましたが、
全ての遺品に共通する効果は、殺人遺品が殺人の道具であることを明示しており、
やっぱ世界観と登場人物共々イカれてました。

殺人を行う上で最も障害であり、同時に思い留まらせるリミッターでもある
恐怖と言う感情そのものを皆無に等しくすることがどれだけヤバいことか。
人間、恐怖心があるからこそ躊躇したり考えたり自制したりするもの。
それがなくなるってことは、本能に忠実な獣と同じじゃないか。
うん、狂ってる。


そんな本性と本性がぶつかり合う戦いの結果、
切自身が『判決執行』の基準で悪と判断されることとなり・・・

初登場時から殺人鬼を殺すことを使命であると思っており、
同時にそれが趣味であることを語っていたりと、
イカれっぷりを思いっきり見せ付けてくれていただけに、
最終的には絶対戦うことになるんだろうなとは思ってはいましたがね。
敵となるまでが実に早かったわ。
対立することとなった運命は、
醜聞のパーティー会場でも演劇のキャストとして、
参加者たちの目の前で戦う構図をももたらすこととなり。
当然舞台上で殺人バトルが繰り広げられてるなんて、
何も知らない見てるだけの側からすればただの余興としか思えないだろうし、
喝采の中、公開処刑でもするつもりなのかって勢いがやっぱイカれてる。

本当に『狂ってる』、『イカれてる』、これらの単語ありきです。
そしてその戦いの結末も意外な幕引きで・・・

結局醜聞と戦うことになるのか、他の権利者が出てきて戦うことになるのか、
何から何まで先が読めません。
今回の引きも祝の身に一体何が起こったのか、
切との関係はどうなってしまうのかと、非常に続きが気になりますね。


イカれた戦いの中で見る恋愛感情がまた高まるものがあり。
こういうのも一つの吊り橋効果だったりするんでしょうか、
普通じゃないからこそ逆に愛しく思えてきます。
特に切と祝のいちゃつきっぷりは凄まじい。
のっけからカラーで見せ付けてくれてますからね。

話の流れ的には愛玩屠殺へなんだけど、
ある意味読者へ対してもノロケ全開なわけで、ああこんちくしょう。
髪を切る、切られるの関係だけでこんなんですから、
それ以上まで進んでしまうともう止まらない。

キスだけでえらく官能的で、完全にぇちぃシーン一歩手前じゃないか。
こいつら、中学生ですよ?
切&祝もさることながら、判決執行こと正義とぽんこつ婦警の小桜さんコンビもたまらない。
自らの正義に則って殺人をする判決執行と、
それを止めようとして、毎回絞首されて逃げられる小桜さん。
この奇妙な関係が本作の世界観としてはある意味ベストなのかもしれません。
現実と非現実とのせめぎ合いって感じでね。
必死で判決執行を止めようとする姿は実に格好可愛い。

結局のところ、互いの正義感をぶつけ合う中で恋愛感情に近いものが芽生えてたわけですね。
そんな想いが明らかになる小桜さんの涙は紛れもなく本物です。

マジでいい女だったし、いつかまた再登場してほしいなぁ。
ただし殺され役は勘弁。