生き残るために死んでくれ! 『進撃の巨人』 3巻

進撃の巨人(3) (講談社コミックス)

進撃の巨人(3) (講談社コミックス)

圧倒的に不利な状況において現れた巨人を殺す巨人。
中から出てきたのは食われたはずのエレンであり・・・

各所から凄まじい勢いで猛プッシュされて
このマンガがすごい2011年版オトコ部門でも1位と、
間違いなく今年最もヒットした作品の一つである本作。
3巻目となる今回はエレンが身に付けた巨人化の能力を巡る人間の思いや
防戦一方だった戦いからはじめて攻勢に出るための作戦の発動と
人間対巨人よりも人間対人間のエピソードが中心となっていますね。
1巻2巻と衝撃的な展開ばかりだったので極端に大きな動きがないから
少々地味な印象を受けるものの、新たな展開への布石としての溜めは十分です。
これまでの展開を表すなら起転転承ってところですかね。
本編の内容と全く異なる嘘予告も段々ネタ臭が増してきました。
前回は打ち切りっぽい見開きだったのが、今回は料理モノになってたり。

ヘタレ的な意味にしてもネタ的な意味にしてもサシャは万能だなぁ。
そして本誌では本作の代名詞とも言える超大型巨人のフィギュアの応募者全員サービスがあるとか。
帯に写真がありますが、人体模型・・・


捕食されたはずのエレンの身に一体何が起こったのか。

1巻の回想シーンで伏線として描かれていた描写の真相が一つ明らかになったと同時に
それ以上の謎が出てくるあたりはさすがとしか言いようがないです。
早い話が自身に巨人の身体を纏わせる能力が身に付いたわけで、
父親がエレンに接種していた注射がこの能力に関係していることはわかったものの、
行っていた研究内容全般については全然わからないままですからね。
果たして父親が言っていた地下室に眠る真相とは一体何なのか。

能力についても『彼らの記憶が〜』って『彼ら』って何者なのか。
突然強力な能力が身に付いたのはいいとしても
未だ使いこなせずに振り回されている現状、
まずは『彼らの記憶』とは何なのかと
如何に能力を使いこなすかがこれからの焦点になってきそうですね。

能力そのもの以外にも、一度食われて切断されたはずの左腕も気になるところ。
再生したこともそうですが、切断面あたりを見て一体何に気付いたのでしょうか。


敵は巨人のみならず・・・
今でこそ人類の共通の敵として巨人がいるから結託しているものの、
人間同士の争いも段々と現れてきましたね。
エレンが覚醒した能力によって『化け物』を抹殺しようとする者、
殺されても前線から逃げ出してしまいたいと考える者、
追い込まれれば追い込まれるほど人間の黒い部分が見えてくるなぁ。
こういう醜い面は巨人の捕食対象が人間だけってところと関係してるところがあるのかな。
奪還作成と称した間引きについても一切包み隠さず語られたりするし、
いつか人間自身の手で壊滅危機に陥るんじゃないかと心配でなりません。

そんな状況の中、自らの為せることに気付き、命を賭す覚悟を決めたアルミンや、

バラバラになりかけていた部隊の士気を足掛け16ページに渡る演説で高めた司令が非常に格好いい。
巨人は恐ろしい、だが逃げれば家族や大切な者をも恐怖に晒すことになる、
明日を生きるために今日死ねとか全てを背負う身でなければ言えないです。