鬼形家の新たなる霊現象との戦いが始まる 『キガタガキタ!〜「恐怖新聞」より〜』 1巻

かつて恐怖新聞に翻弄され、犠牲となった鬼形礼。
彼と同じ鬼形家の人間である鬼形冥が14歳の誕生日を迎えた日、
あの忌まわしき恐怖新聞が届けられるようになり、
数々の霊現象と戦う日々が幕を開けることとなった・・・

今からおよそ35年ほど前に連載されていたつのだじろうの名作ホラーが
チャンピオン40周年と言う記念企画により新たに生まれ変わりました。
鉄鍋のジャン!で知られる西条真二氏の手によって描かれる世界観は
非常に濃くもエグく恐ろしく、そしてイカれており、
ホラー作品として、チャンピオン作品として21世紀版恐怖新聞の看板に恥じぬ出来となっています。
と言うか、西条テイストがマッチしすぎです。
ポルターガイストがある意味ヒロインだったりとかもうね。
確かに新聞で形成された身体は悪霊そのものではあるけれど、
何気に全裸だし胸デカいし。

巻末の4コマでなんてデフォルメされた『恐子ちゃん』が可愛い。
リングの貞子を見て泣き出すってお前本当に悪霊かよと。

こんな悪霊になら憑かれ・・・たくはないなぁ・・・


霊に取り憑かれてしまい、自分の運命と戦うって立場は同じなれど、
本作の主人公となる冥はまた随分とアグレッシヴなキャラをしてます。

礼は全体的に後手に回ってばかりで翻弄されっ放しだった印象がありますが、
冥の場合は最初から真っ向からぶつかっていってますね。

新聞に書かれていることがハズれれば寿命は奪われない、
そのために予言を阻止するって発想からして凄まじい。
普通こんな立場に追い込まれたら絶望して何もできませんって。

戦い方も霊能力を駆使するなんて代物ではなく、
あくまで己の知恵を振り絞って行動に移すってところがまた。
だからこそどういう行動でもって状況を打破することになるのか、
それすらも予言の想定内と言わんばかりに話が向かっていくのか、
命がけの知恵比べは毎回どっちに転ぶかわかりません。
一つ謎なのが礼との関係について。
鬼形家の人間であることしか判明していないけれど、
子孫って考えていいのかな。
はじめて冥のところに届いた新聞の記事に35年ぶりに刊行された旨が書かれてるし。


ホラーであることから出てくる霊も色々いますが、
怖いって意味でなら人間の方が圧倒的に怖いです。
確かに料理漫画と言いながらイカれたキャラばかりで
まともな人間の方が少なかった鉄鍋のジャンを描いていただけのことはあるわー。
ジャンでは審査員の飼い犬を調理したり、ウジ虫を食わせるなんてのはあったけど、
イカれっぷりはそれらに負けてません。
殺人鬼の役を演じるために本当に殺人を犯した俳優とかわかりやすい例です。

読み切り版の最初で冥に助けられた女性(きょぬー)も再登場したと思いきや
ストーカー化して玄関の鍵をブッ壊して不法侵入ですよ。

他にもヒロイン系のキャラ登場と思わせておいて
美的センスがブッ飛んでる上に下着チラしまくりの娘(胸は普通)もいたり、
全然まともな人間がいないんですが・・・
西条ワールドとしては全くブレておらず、
むしろ本作の世界観にマッチしすぎているのがまた因果なものですね。