二年目の春は出会いと恋の季節 『がんばれ!消えるな!!色素薄子さん』 4巻

がんばれ!消えるな!!色素薄子さん 4 (IDコミックス REXコミックス)

がんばれ!消えるな!!色素薄子さん 4 (IDコミックス REXコミックス)

大学に入学してから二年目の春。
そこには新たな出会いと将来へのヴィジョンが少しずつ見えてくる季節の到来でした。
掲載誌のREXがリニューアルされてからの初リリースとなる単行本陣のうち、
ほんわかのんびり癒し系ヒューマンストーリー枠から本作が早くも4巻目として登場です。
1巻が出たのが去年の夏ですから月刊誌としてはかなり早い刊行ペースとなりますが、
内容はいたってのんびりとした空気が終始流れています。
ぃゃー、桜の季節っていいですよね。
春は出会いの季節とも言うだけあって文字通り『春』ってイメージの新キャラも登場し、
のんびりした中でも確かに変化してゆくものがいろいろと見受けられます。
遅い足取りでゆっくりではありながら人間関係も少しずつ発展してきてますし、
見るたびに一歩ずつ踏み出してゆくことの大切さが身にしみてわかりますね。
おまけページでは同時発売されたドラマCDの収録レポや
作者繋がりでMOON CHRONICLEで連載されているニュースサイトたん4コマの出張版があったりと
本編以外の部分についても充実しています。

あと描き下ろし部分のおまけページで語られている
ミニストップのソフトが美味しいことについては大いに同意します。
あれはコンビニ商品だからと油断できませんよ。


カエルが繋いだ新たな出会い。
作中の時系列では二年目となったことで薄子たちも二年生になりましたから、
当然後輩が入学してくるわけで新キャラに期待が持たれるところではありますが、
新入生の超天然の箱入り京娘・撫子さんは本作のために生まれてきたかのようなはんなりさ。

私服に着物を着て大学に来るのなんて序の口で、
自動改札を知らなかったりナンパで『お茶』と言われて野点を始めてしまったり。

今の時代にこんな天然記念物級の娘さんが一人上京してくるなんてすごい大冒険ですよ。
巨大蛙のウオサダさんと遭遇したことが縁で薄子と知り合って
早くものんびりしたキャラ同士見事なまでの共鳴っぷり。
片や自分の知らない世界を教えてくれる先輩として、
片や鋭い切り口からの発言でイメージすることができない
将来のヴィジョンをクリアにしてくれるアドバイザーとして、
互いに影響しあうものがあって共に人間的に成長していく様子がまた微笑ましいと言いましょうか。
こういう風な先輩後輩関係ってのもいいですね。
歳の差がどうであれ完璧な人間なんていませんし、
足りない部分があればフォローし合う関係って本当に理想的です。


永遠不変などありえない、変化して成長するから人間なんだ。
今回は年度が新しくなったこともあって色々と変化するものが見られますね。
学年とかもそうですが、特に目を見張るのが恋愛事情。
雲ちんのラブコメ展開としてのヒロインっぷりがヤバいです。

マジで雲ちんの可愛さがヒートアップし続けて留まるところを知らない。
ずっと濃造に対して恋しているものの、面と向かって話すことすらおぼつかなくて
バレンタインの時ですらチョコを直接渡すのが恥ずかしいから
薄子経由で渡していたくらいなのに、
はじめて濃造相手に直接自分の口から言いたいことをそのまま伝えると言う一歩を踏み出しました。

濃造も満更でもない様子で『妹の友達』って認識から
『一人の女性』としての認識に変わりつつある風にも見えますね。

とは言えどもまだ直接告白したわけではないからどうなるかはわかりませんが、
少しずつ進展を始めた二人の関係は非常に注目なのですよ。
人間的な変化は薄子自身にも訪れており、
将来像が掴めていないことに焦りと悩みとを抱える様子も見え隠れしています。

成長譚として本作を眺めるのであれば最終的に将来像を明確化して
それに向かって歩んでゆくことになるのだろうけれど、
割と安易に将来を決めてしまった身からすれば
大いに悩んで納得できる道を進んでいってほしいところですね。