殺生をするからこそ感謝をしなければならない 『釣り屋ナガレ』 8巻

釣り屋ナガレ 8 (少年チャンピオン・コミックス)

釣り屋ナガレ 8 (少年チャンピオン・コミックス)

メインテーマは釣りではあるけれど、
それに打ち込む人々の様々な人間模様も魅力な本作も8巻目となりました。
そもそも釣りをするために必要な心構えを通じて
人間としての礼節についてを教えてくれるエピソードのように、
単純な技術だけでもない、釣果を競い合うだけでもない、
成長を描く一つのヒューマンストーリーとしても安定していますね。

勿論釣りもしっかりと熱い。
現在はナガレが帰郷中だけど、表紙にも出ているお嬢はしっかりと出番があるし、
(と言うか実に妄想たくましい)

新キャラも登場してただならぬ複雑な事情を見せてくれていたり、
釣りだけじゃなくてキャラにも魅力があるのがいいなーと。


今回収録されているエピソードの中でもメインであり、
且つ最も重い話だったのが新キャラの命が登場したエピソード。
ボーイッシュな外見で男かと思ったら実は女だったのもありますが、

それはあくまでキャラとしての一要素に過ぎず、
複雑な家庭環境によって完全にスレてしまった性格と行動こそが本分。
初登場した直後から世の中を斜め上から見ているような
どこか冷めた印象を受けたと思いきや、
行き場のない鬱憤のはけ口として動物虐待をする始末。

あれ?何この中学生日記
最終的には釣りを通じて『いただきます』に込められた意味と
殺生するからこその覚悟と心構えをナガレが教えてくれますが、
やっぱ虐待と狩りは全然違いますね。


釣りと人間模様の他にも若干のエロスとギャグが含まれている本作。
今回はけっこう笑える描写が多かった気がします。
カバー下の描き下ろしではW杯で話題となったタコ占いとか、
何気に時事的なものもあったりしますし、
本編でもイケメン俳優が思い出の魚が何なのか、
食べて確認したいと言う依頼を受けて達成したその瞬間が
完全にヘヴン状態入ってたりします。

しかもこの俳優、絵心では見事な画伯っぷりを発揮していたりする残念ぶりもまた。
他にもワカサギ釣り大会のときに至っては、
雪像トロフィーに紛れ込んでドアラ初音ミクにゆっくりの姿が・・・

何気に抑えるところ抑えてるなー。
こういうネタを躊躇せずに載せてしまうあたりが
いかにもチャンピオンと言うか秋田書店っぽいところではありますがね。