飽くなき風呂への探究心は尽きることを知らず 『テルマエ・ロマエ』 2巻

テルマエ・ロマエ II (ビームコミックス)

テルマエ・ロマエ II (ビームコミックス)

3年ぶりに帰宅した浴場設計技師のルシウスを待ち受けていたのは、
蛻の殻となった我が家と逃げた妻の置き手紙だった・・・
風呂場限定に焦点を絞ったネタの着眼点と
ローマ時代と現代日本を繋ぐタイムスリップネタとで発表間もなく話題となり、
今最も熱く、注目されている作品へとあっと言う間に駆け上がった本作。
今回も風呂への情熱は変わることなく全力でタイムスリップを繰り返し、
様々な文化をお持ち帰りしております。
さすがに2巻目だからはじめて読んだ時のような衝撃的なインパクトはないにしても、
十分すぎるほどに楽しめるほどにネタは充実しており、非常に安定しています。
いわゆる『平たい顔族』な日本人である自分たちでさえ
そんなのもあったのか、そう言えばあんなのもネタになりそうとか、
風呂文化の奥深さにただただ驚く限りです。
奇抜な浴場を提供する反面、昔ながらの浴場の危機を救ったり、
全盛期の勢いを失って後継者問題に悩む皇帝の相談役として活躍しながら
とうとう命まで狙われる立場になってしまったルシウスの明日はどこへ行く!?

そして今度は日本のどこに飛んで何の風呂文化を持ち帰る!?
ついでにラムネ瓶に指を突っ込んで抜けなくなるのは間抜けだぞルシウス!


日本の風呂場、行く先は東西南北どこへでも。
ハドリアヌスナイル川⇒ワニとすごい連想ゲーム状態で
まさかの熱川バナナワニ園の登場とか変化球っぷりがすごいことになってます。
風呂場と言えば切り離せない定番ネタの一つであるプールに見立てるエピソードも
ローマ時代の頃からこんな風に子供たちは娯楽として楽しもうとしてたのかな。
海はおろかプールも最後に行ったのが何年前かわからない身としては、
こういうアミューズメント温泉施設とかで温泉スライダーってのも悪くないと思う次第です。
遊び疲れればそのまま入浴して疲れも癒せますからね。
他にもどんな奇抜な風呂文化が出てくるものかと思ったら
公衆浴場には欠かせない入浴マナーに関する話もあり。
今も昔も迷惑な客ってのには手を焼くものなんですね。
それを注意するためにモップとすのこで武装するルシウスは完全に間抜け極まりなかったりしますが。

でもこの微妙なズレっぷりがルシウスがルシウスたる魅力だったり。
こんな風にどこかが奇抜なものを出してしまうと一方で廃れてしまうのが昔ながらの浴場。
自分も昔はけっこう頻繁に銭湯に連れて行ってもらったりしたけど、
最近はスーパー銭湯のように一つの娯楽と休憩施設が勢いを増して
昔ながらの銭湯なんてほとんど見ることもなくなりました。
だからこそどこの店舗も一定の客層を確保できるスタンプラリー形式ってのは
昨今の銭湯事情にとっては救済措置とも取れるかもしれません。
最近の公衆浴場事情は大変だ・・・


何気に光っていたのがお色気描写。
温泉スライダーにやって来たかと思ったら
いきなり水着姿のお姉ちゃんと正面衝突ですからね。

しかも水着がヒョウ柄とか誘ってやがるぜ!
まぁその分ローマに戻るトリガーになるのがおばちゃんとの衝突になるわけですが。
そして今回最初のエピソードであり、ある意味最強だったのが男根ネタ。
中扉開けたカラーページからして巨根の石像が飛び出しますし、
ルシウスが執拗に子作りを迫る妻によって実はEDになってしまっていたことが発覚したり、
現代日本にタイムスリップしたと思ったら金精祭りときたもんだ。
(しかも神扱いされちゃうし)

実際探せば男根信仰の祭りをやってるところはけっこうありますが、
まさか本作でこんなネタが出てくるとは思わなんだ。
よりにもよって超が付くほど名が知れてしまったこともあって
続きを心待ちにしていた人もたくさんいたであろう新刊の開幕がこれです。
この自重しなさっぷりが冒険家だなぁと。
何と言ってもこの祭りに出てきた知恵ちゃんが可愛くもエロかった。

はっぴ姿で顔を赤らめながら巨大な男根のご神体にまたがって・・・
EDさえも治してしまった知恵ちゃんさすがです。