川口店長の戦いはこれからも続く 『コンビニDMZ』 5巻

コンビニDMZ 05 (ヤングキングコミックス)

コンビニDMZ 05 (ヤングキングコミックス)

新店舗開拓のために川口店長が向かった先は、
内紛により無政府状態となっている治安最悪の某国。
そこで待ち受けていた最悪の相手とは・・・
戦場の真っ只中、非武装地域(DMZ)に構えるコンビニを舞台とした、
軍人と商売人を描いたミリタリーコメディも今回で完結。
舞台的なものからして、物騒なんて言葉で片付けられるものではないものを
商売魂で全てねじ伏せてきた店長もこれで見納めと思うと名残惜しいです。
きっとこの店長がいればどんな無法な国でもきっと再生させられる、
下手な親善大使とかよりも全然効果が高いと思わせてくれますよ。
武装地域として38度線が有名なところではありますが、
いつこの線までもが戦場になるかもわからない危険な状態になっている今ですから、
もし実在しているのであれば是非とも向かって店舗設立のために尽力してもらいたいものです。
店長がいればきっと世界平和は近いです。
この極悪スマイルで迫られたらもう抵抗する術など見当たりません。

場合によっては営業活動じゃなくてこのままカチコミに行きそうな勢いもありますし。

店長がフォースの暗黒面に!?


今まではずっと固定で構えていた店舗を中心として、
新商品の展開とか物資のやりとりについての駆け引きとか、
一話完結のショートエピソードが多かったのに対し、
完全に違う地域で新規開拓を行う関係から
最初で最後の長編エピソードとなっています。
そのため、コメディ的な要素はかなり薄くて
本当に一国に革命を巻き起こす一人の奇跡を描いたような展開になっていますが、

なるほど、ストーリー仕立てにするとこういう作品になるのか。
と、逆に関心させられました。
無政府状態の無法地帯ってことはソマリアとかを想像してみればいいのかな。
・・・ぅゎぁ、絶対行きたくない・・・
入国する前に死ねるわ。
あとがきによると地域的には欧州で鎖国をしていた某国をモデルにしているそうで。
地形的に見てアルバニアあたりでしょうかね?


コンビニに限らず商売全般に言えることかもしれませんが、
物を売るだけではない、心を売ることこそが真の商売と言えるのかも。
今回舞台となっている某国の現状がまたえらく荒んでるんですよね。
独裁者によって全ての商店は封鎖され、
物品は全て自販機による配給で賄われているとかひでぇ。
そりゃ高速のSAとかにクイックフードの自販機とかはありますが、
ああいうのは時間がないとき手軽に、たまに気が向いた時にがいいのであって、
日々の生活全てをあんな感じで飯を食わされたんじゃたまったもんじゃありません。

国民にしても独裁者側近のゲンツにしても店の前では皆平等。
生かされていた者が自ら生きる者へと変わった瞬間でした。
それにしてもこんな体制を敷いた独裁者のプーチリンもまた因果なもんです。
名前が既にプーチンスターリンそっくりって時点からしてもあれですし、
顔まで・・・

しかも最後は本当にプーチンとご対面しちゃうし、
キャラ的にも展開的にも実にフリーダムです。


川口店長が現地へ営業活動に、残った二人はそのままお留守番。
となると、店長一人だけで向かったのかと思えばそうではありません。
ここに来て新キャラのこどもSVこと舞さんの登場です。

雨宮さんが非常にグラマラスなキャラでしたから、
それと正反対を行くちまっこい舞さんが妙に可愛くて仕方ありません。
作中で戦場と言う場所に最も似合いそうにないキャラでもありますし。
何を隠そうこの舞さん、ヘタレ系キャラの本間SVの妹にして、
ウサギのぬいぐるみが手放せない子供っぽさを残す16歳の現役女子高生でした。
商売の邪魔になる自販機をRPGで吹っ飛ばすような無茶ッぷりもあったりするのはご愛嬌。
むしろ雨宮さんよりもこっちの方が最初からレギュラーでいてほしかったとか、
そんな風に思ってしまった人は少なくないでしょう。
あれ?何かものすごい形相をした雨宮さんが・・・