武闘派の嫁と姑、三度拳で語る 『嫁姑の拳』 3巻

嫁姑の拳 3 (秋田レディースコミックスデラックス)

嫁姑の拳 3 (秋田レディースコミックスデラックス)

いつも意見の相違によって喧嘩ばかりしている反面、
気が合うところはとことん合う中の良さも見せる武闘派嫁と姑。

そんな無茶苦茶な二人が巻き起こすトラブルまみれの生活を描く
ホーム(?)コメディ待望の第三弾です。
今回は旅先で幽霊と遭遇してしまったり、
爽の通う幼稚園の運動会で暴れまわったり、
フレンドパークみたいなテレビ番組出演まで果たしてしまったりと実に多種多様。
相変わらず無茶苦茶すぎる二人の人外スペックぶりと
力技で基本的に何でも乗り切る強引さに笑いっぱなしです。
『ありえね〜!!』
これが本作のキャッチコピーなのですが、
何度心の中でこの言葉を何度もつぶやいたことでしょう。
常々思っていたけれど、やっぱこの二人は超人としか言いようがありません。
家事とかごく普通の事に関しては凡人なんですけどね。
コンビニ弁当じゃなくて手作りで弁当作れとツッコまれて

『無理!』
ぃゃ、無理ってそんな堂々と言うことじゃないでしょうが。


色々と規格外すぎる羽場家の皆様。
毎回のように拳で語り合ってリビングを半壊させて鍛えているからか、
人間ロケットで走行中の車破壊なんて
ファイナルファイトや初代スト2のようにわけありません。
その時点からして完全におかしいんですけどね。
強盗に拳銃で撃たれたとしても銃弾を素で避けたり弾き返したりするし、

普通の人間が直撃したら粉砕骨折する勢いで鉄球が投下されても
平然と頭で打ち返して『ちょっと硬かった』で済む始末。

※打ち返しているのは鉄球です
ぇーと、一つツッコませてください。
あんたら本当に人間か!?
単体でも手が付けられないのに、この二人が手を組んだ日には・・・
この二人にまともに対抗できるのは同じく超人主婦の有山さんと
2巻に出てきた生身でトラックすらはね返す
アンドレ・ザ・ジャイアントのごとき巨人姑くらいのもんです。
それかセガールくらい・・・
一見無敵に見える二人ですが、
今回見た目に反して乙女チックな面も持っている姑のリリィさんに弱点が一つ判明しました。
それは幽霊。

ぃゃ、こんなのの集団に出くわしたら誰でも怖いですけど。
こんな母に育てられた婿の武さんと家族の良心にしてオアシス・爽は
身体スペックは普通の人間だけれども、
人外にしてしょっちゅう格闘してる嫁と姑を持つ身だけありますよ。
落ち着きっぷりと言うかマイペース具合が半端じゃないです。
喧嘩してる二人を尻目に豪快にスルーするなんていつものこと。
一々ツッコんでたらきりがないから自然と身に付いたスルースキルなんでしょうかね。
武さんに至っては、強盗に人質にされて、拳銃を突きつけられているのに危機感も皆無。

さすが羽場家の人間、どこかしら人外じみた何かを持ってないと生きていけないようです。
と言うか、毎回のように半壊してるリビングとか家具諸々が
何事もなかったかのように次の回で復活してる羽場家の財力って・・・


基本はギャグではあるものの、家庭を取り扱った作品ですから、
随所に見られる家族愛にも注目です。
運動会の回では場所取りに躍起になる親たちの姿もあれば、
自分のエゴを押し付けられていたのを脱却し、
自らの意思を持って行動を起こした子供に教わる姿もあり。

嗚呼、小学生時代のヒネてない自分もマラソンは嫌いだったけど
とにかく完走することを目標に掲げたりした時期もありました。

幼稚園児とか小学生とか、成長期にあるからこそ逆に教わることってあるなぁ。
このあたりは幼稚園児であることを忘れてしまうほど
しっかりした子の爽とか見てると特にそう思います。
母と祖母はあれだけど、子供の教育方針だけはしっかりしてるってことですね。
うん、実にいい家族じゃないか。
逆に子を思うあまりに暴走する姿も。
ちょっとした過ちから妖精として文通することになってしまったり、
妖精をつれて来いって話になってしまった挙句に取った手段が・・・

それは本当に爽の前に出なくて正解だわ。
出てたらたぶん怒ってしばらく口聞いてくれなくなりそうです。


こんな本作ですが、朝日新聞に取り上げられたこともあるし、
ネット上でも話題騒然だと言うのに売れてないんですよね・・・
帯書きでもその悲哀が語られており、
掲載誌の問題とかアホな作品だからとかいくつか理由も書かれているのですが、
それ以上にもっと単純にして絶対的な理由があります。
そもそも売ってないんですもの・・・
自分の知る限り、秋葉原のコミックZINでしか置かれているのを見たことがありません。
各量販店さん、絶対売れますから、
もっと積極的に本作をアピールしてくださいお願いします。
同時に、通販とか使うならともかく、店頭で見かけること自体がレアなので、
見かけた折には是非とも手に取ってみてはいかがでしょうか。
売れない理由と一緒に書かれている
『これで売れなきゃ次はない!!』
はあまりにも不吉すぎます。