ひとひらアンコール

ひとひらアンコール (アクションコミックス)

ひとひらアンコール (アクションコミックス)

キャラの数だけ物語は紡がれる。


演劇を通じて自己主張が苦手だった主人公麦が
人間としての成長していく物語を描かれたひとひらが終了したのも
未だ記憶に新しいところではありますが、
物語のキャストとして登場していた
様々な人物に視点を置き換えた番外編の登場です。
本編が進行中のときも誰もが全員主人公だと思い、言った覚えがあります。
それを本当に個別のエピソードとして描かれると
こうも話の重みってものが増すもんなんですねと。
これを期に本編を改めてもう一度最初から通しで読んでみるのもいいかもしれませんね。
あの人物があの時裏ではこんなことをやっていたと
新たな発見がきっとあると思うんです。

お話としての本作はこれで終了となりますが、
登場人物たちの人生と青春はこれからも見えないところで続いていくんですね。


人生にサブキャラなど存在はしないんです。
誰もが全員主人公であり、個別の物語ってものを持っているんです。
スピンオフともまた違う感じのエピソードの数々は
ひたすらに青春と人生を謳歌するは自分次第だと教えてくれているようです。

この主人公論については表紙からしても感じ取ることができますからね。
ある意味麦と正反対の鏡のような存在だったちとせは当然大きく写っていますが、
本編では麦たちが二年に進級する際に留学して
海外へと旅立っていった佳代ちゃんが表紙で一番目立ってるんですよね。

実際に佳代ちゃん視点のエピソードも収録されていますし、
モブだなんて誰が言った!と自己主張してるかのようです。
現実にモブキャラなんていませんからね。
いるとしたらそれはそう思っている人の主観で見た世界だけです。
果たして自分は自分自身の人生の主人公足りえているのでしょうか。
ふと、そんなことを考えたくなります。
否、とても自らを主人公だと誇れないからこそ頑張ろうと思えるんです。


十人十色の言葉通り、収録エピソードの数々も多種多様。
コメディもあればシリアスもあり。
このあたりの話の起伏は作者の得意とするところですから、
どちらの展開も安心して見られますね。
メインとなる個別エピソードの後から始まるコメディ短編の数々は
ただただノリがいいなーと思いますよ。
野郎のブルマ姿(スネ毛付き)とか思いっきり誰得なシーンもあれば

麦がまさかのツンデレモードを発現させてみたりと
こういうバカやってる日常があるからこそ
いざと言うときの場面ってものが映えるんですね。
収録されてるエピソードの最初がミケが何でミケと呼ばれてるかって話で
オチからして掴みはバッチリです。
貴重な川崎さんの笑顔も見られますから。
で、全般的に言えることはたま可愛いよたま。

さちえ&山口と組んだ時の三バカっぷりもなかなか。