ホリィさんが通る 1巻

ホリィさんが通る (1) (角川コミックス・エース 255-1)

ホリィさんが通る (1) (角川コミックス・エース 255-1)

妄想力は空想力で実現力。


その類稀なる超現実的主義思考のせいで、
モノを作り出す『想像力』が欠落しているちょっと地味な
ごく普通の中学生だった主人公のアキラ。

そんな現実的な生活は一人の少女と出会ったことで『妄想』と言う名の非現実へと一変することに・・・
思う心が形になるってテーマ自体はそれほど珍しいものではないけれど、
その思うものがそれぞれ個人個人が心の内に秘めている妄想であったり、
世界そのものが妄想そのものに侵食されてしまったりと、スケールが違います。
言うなれば、ドラえもんの道具で言うところのもしもボックスの世界。
設定だけならある種のホラーとも言える世界観を、
妄想のぶっ飛び具合によってコメディチックな仕上がりとなっている本作です。


あなたの身近にいる様々な人たちも、
一見優等生な人間であっても、実はとんでもないことを考えているのかもしれませんよ?
妄想が現実となってしまったその世界とは、
全校生徒が水着着用必須のエロ妄想。

しかもそんな思春期の男子が考えそうな妄想をしていた張本人は、
あろうことか政治家を親に持つ、絵に描いたような優等生のお嬢様で・・・
人は見かけによらないって言葉をよく使う自分ですが、
そういうレベルじゃないですって。
いくら何でも使用前・使用後でキャラ壊れすぎです。

本性バレた後の自重しなさっぷりときたらもう。
とある人物の妄想によって幼児体型にされたと思ったら逆に願ったり叶ったりだときたもんです。

完全にただの変態じゃないですか。
今回出てきた妄想はまだエロ妄想と自己完成と言った
自分に対してポジティブなイメージのもの(作中で言う『幸福主義者』)だったからいいものの、
相手に対してネガティブな妄想を抱く『破滅主義者』が出てくるとどうなるんだろう。
本来のコンセプトとしてのホラー的な展開になっていくことになるのかな。


妄想によって展開するおかしな世界も見所ではありますが、
触れただけでその相手の妄想を現実化させてしまう能力を備えてしまった
ホリィ自身についてもある意味見ていくべきところです。
ちょっと変なロリっ娘ではあるけれど、
その能力のせいでまともに人に触ることも出来ない境遇だったりするわけで。

妄想を抱くことができないためにその能力も発現することのない
『現実主義者』であるアキラとの出会いで色々と変わっていくことはあるでしょうね。