ぎぶそん

ぎぶそん (PIANISSIMO COMICS)

ぎぶそん (PIANISSIMO COMICS)

音楽に情熱を捧げた4人のささやかな学校生活。


未だ中学の頃のような軽いノリで日常を過ごしながらも家庭事情に恋愛事情にバンドにといろいろと大忙し。
鏡の反射で恥ずかしいところを照らして遊んだりはんだをコンセントに挿して爆発させたりとやんちゃをしたりと
子供っぽい心を持ち続けたまま成長していく。
その成長の形は先の短い祖父を通じてだったり喧嘩をして仲直りをしてだったり。
断片的な成長の欠片は次第にそれぞれがそれぞれの我を出しすぎて合奏とは程遠かったバンド演奏が
やがて一つになっていくものとして確実に結果に現れていく。
決して派手な内容ではないものの高校生活を全力で駆け抜けていく情熱がある。


終始ガクとかけるの二人が仲良すぎてこいつらホモちゃうんかなんて思ったりなんてしてしまうのですが
喧嘩騒動が起こったときには本気で相手のことを怒っていたりと男の友情ってやつですかね。
こういう馬鹿をやりあいながらも時には真剣に向き合う関係。
一生ものの財産としてこの駆け抜けた時期は残り続けるんでしょうね。


音楽バカで恋愛事情には疎そうなガクがリリイに告白するラストはどんな心境なのだろうか。
葬式帰りなんてシチュエーション的にはかなり最悪なものではあるけれど、
その最悪のタイミングであるからこそ告白し得た時。
音楽・恋愛・家族。
この個々の要素がそれぞれの演奏パートであるとするならば、
それが融合して一つの曲として仕上がったのが本作ではないでしょうか。